スマート化がとまらない超便利な「家」の未来 「家電や住宅」はIoTでますます便利に進化する

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でも、「スマート家電は一般のものより高額なのではないか」「HEMSを導入するには大がかりな工事が必要になるのではないか」とパナソニックに質問をぶつけてみた。最新モデルの家電はインターネットに対応するものが多く、特別な商品でもないという。それよりも今ある商品がインターネットに対応していないケースが課題だという。

例えば、HEMSの基本機器(コントローラー)の価格は、パナソニックの場合なら、モニター機能付きで8万円、モニターなしで4万円(税抜きの希望小売価格)。基本機器をコンセントに差し込み、HEMS対応機器を登録すれば使用できる。電気量計測などの一部の場合を除き、特に大がかりな工事は必要ない。

ただし、後付けする場合では、連携させたい家電に耐用年数が残っていても最新モデルに一気に交換する必要があるので、その購入価格が高額になる。そのため、住宅を新築する際にIoT住宅にするのが、最も効率的だという。

クラウドAPI連携によるスマートホームサービスも登場

三菱地所では、総合スマートホームサービス「HOMETACT(ホームタクト)」を開発し、新築の賃貸マンションから導入を始めると発表した。このシステムが従来と大きく異なる点は2つある。

(画像:三菱地所「HOMETACT」記者発表会資料)

1点目は、「導入障壁」が低いこと。(1)スマート化のアプリが多様にあり、まとめて操作できないこと、(2)使用するためにはユーザー自身が設置・設定しなければならないこと、(3)アフターケアやトラブル時の緊急対応などのサポートがないこと、などがIoT化を阻む要因になっている。

これに対して、三菱地所はオリジナルのHOMETACTアプリを開発し、IoT機器をまとめて操作(スマートスピーカーを使って音声操作も可能)できるようにした。また、ビックカメラグループと提携した「設置・設定サービス」や「コールセンター」などのカスタマーサービスの体制を整えた。

2点目は、「クラウドAPI連携」によるスマート化であること。APIとはApplication Programming Interfaceの略で、ソフトウェアの機能を共有する仕組みのこと。今回のケースでは、給湯器のリンナイやスマートスイッチのライフスマート、お掃除ロボットのアイロボットなどの各社にAPIを公開してもらい、HOMETACTのソフトウェアにこれらのソフトウェアの機能を埋め込むことで、まとめて操作できるようにした、と機械音痴の筆者なりに理解した。

API連携であれば、HEMSのようにECHONET Lite規格にかかわらず、インターネットに接続できる機器であれば連携が可能だという。ただし、日本ではAPIを公開している事例が多くない点が課題。多くの家電・住宅設備メーカーと協力関係にあるデベロッパーが取りまとめ役になることで、こうした連携が現実化した。現時点では、スマートスピーカーはGoogle Nest、スマートライトはフィリップスなどと連携先は限られるが、今後連携先を広げていく予定だという。

このように、これから住宅業界ではIoT住宅が普及していくだろう。住宅が賢くなれば、そこで暮らす人たちの生活がますます便利になっていく。暮らす側の私たちも、使いこなせるようにもっと賢くならねばと思った次第だ。

山本 久美子 住宅ジャーナリスト

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やまもと くみこ / Kumiko Yamamoto

早稲田大学卒業。リクルートにて、「週刊住宅情報」「都心に住む」などの副編集長を歴任。現在は、住宅メディアへの執筆やセミナーなどの講演にて活躍中。「SUUMOジャーナル」「All About(最新住宅キーワードガイド)」などのサイトで連載記事を執筆。宅地建物取引士、マンション管理士、ファイナンシャルプランナーの資格を有す。

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