宣言解除も苦境「タクシー」政治から見た根本問題 タクシー・ハイヤー議員連盟の会長に聞く

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――法改正の観点でいえば、ライドシェア解禁に関する声も耳にしますが、率直にどう捉えていますか。

ライドシェアに関しては明確に「ノー」です。ありえない、と断言できます。タクシーの根幹にあるのは、お客様に安全・安心を提供すること。ライドシェアの概念は、日本のタクシー制度の中には成り立たないと考えている。

有事の際を想定して、健康管理などの細かいチェックがあり、それほど厳重に準備しても事故は起きるものです。ドライバーに対する安全や補償の担保もなく、それが一番のリスクとなる。逆に「何のためにライドシェアが必要なのか」と問いたいくらいだよ。

――自動運転時代になり、タクシードライバーが消えていくという意見もあります。

安全・安心が提供できるという前提のもとだが、自動運転は進んでいく可能性があると思う。そのために法整備も必要となってくるでしょう。ただ、それでもタクシードライバーという仕事はなくならない。安全・安心の観点からも一定数の人の力は必ず必要となる。

タクシーの本質は今後も変わらない

――業界の未来のために必要なことは何でしょうか。

若い人員を確保して、とくに女性の雇用に注力することです。実際に来年から二種免許が簡素化され、少し間口が広くなります。タクシードライバーという職種は若い人がずっと続けたい仕事ではないかもしれない。

ただし、考え方1つで自分の人生を自分で切り開くことができ、人生経験を積むことができる。これだけ自由な職業もないでしょう。地方に住む子育て世代の女性なども、企業側が勤務体系などを工夫することにより、仕事の選択肢に入っていけるはず。収入と時間的なバランスを考えると女性の方にも魅力はあると思う。

――今後5年、10年後のタクシー業界はどう変わっていくのか。

タクシードライバーの数は減り、もしかしたら10万人くらい減るかもしれない。それでも5年、10年では大きな変化はないと思う。30年とか、40年後にはわからないけどね。

都市部の需要は減らないだろうし、地方ではより求められる役割が多様化していくし、より重要になってくる。買い物代行やデリバリー、ソーシャルサービスの中に組み込まれていくだろう。

ただどこまでいっても、「人の移動に貢献して、安全・安心を提供する」というタクシーの本質は変わらないだろうね。

栗田 シメイ ノンフィクションライター

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くりた しめい / Shimei Kurita

1987年生まれ。広告代理店勤務などを経てフリーランスに。スポーツや経済、事件、海外情勢などを幅広く取材する。『Number』『Sportiva』といった総合スポーツ誌、野球、サッカーなど専門誌のほか、各週刊誌、ビジネス誌を中心に寄稿。著書に『コロナ禍の生き抜く タクシー業界サバイバル』。『甲子園を目指せ! 進学校野球部の飽くなき挑戦』など、構成本も多数。南米・欧州・アジア・中東など世界30カ国以上で取材を重ねている。連絡はkurioka0829@gmail.comまで。

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