「適応障害」なりやすい人・なりづらい人の特徴 「軽い不調」と見過ごすのは絶対NGな理由

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理由3:原因に対処しないと治らない

適応障害というのは、原因(ストレス因)に対する不適応反応と考えられます。原因に対して、それをうまく処理できずに、ストレスを増やしてしまい、結果としてメンタル的な不調や体調不良が現れます。つまり、原因があるから結果が出るのです。

それゆえ原因やストレス因が取り除かれると、すぐに良くなる場合が多いです。逆を言うと「原因が取り除かれないと、なかなか良くならない」ということでもあります。

例えば、新しい上司が赴任してきたとします。彼は威圧感のある押しの強いタイプ。細かいことをガミガミ言われたのが原因で、1ヵ月後に「気分の落ち込み」や「意欲の低下」などが現れ、医者からは適応障害と診断されました。

その上司との人間関係が原因だとしたら、別の上司に代わるか、あなたが別の部署に転属でもしないかぎり、そのストレス因は取り除けないということです。あるいは、その会社を辞めるか。いずれにせよ、原因を取り除くのは、簡単ではないと思います。

適応障害は、原因を取り除くことができれば、短期間でスッキリ治ることが多い。しかし、原因について適切に対処していかないと、長引いたり、症状が悪化することも充分にありえるので、注意が必要です。

大事なのは「レジリエンス」

理由4:適応力を高めないと、何度も繰り返す

適応障害は、ストレス因に対する不適応反応です。つまり、ストレスに上手に対応できる人は適応障害にはなりづらいとうこと。

例えば、威圧的な上司が赴任してきた場合。同じ部署に15人働いているとして、メンタル不調を起こすのは1人だけ。他の人も同じストレスを受けているはずなのに、まったく大丈夫な人もいます。一体なぜでしょう?

それは、「適応力」「順応力」が高いからです。レジリエンス(ストレスをやりすごす力)が高いとも言われます。今回、あなたが「上司のせいで適応障害になった」としましょう。しかし会社を辞めて別な会社に転職できたとしても、そこの上司とまたうまく行かない可能性があります。レジリエンスを高めないと、何度もメンタル不調を繰り返すかもしれません。

適応障害は、非常によくある診断名です。仮に適応障害と診断されても、深刻になる必要もないし、落ち込む必要もありません。しかし、軽く考えすぎるのもよくない。

どう対応するのか、主治医を信頼し、主治医とよく相談してほしいと思います。

樺沢 紫苑 精神科医、作家

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かばさわ しおん / Shion Kabasawa

1965年、札幌生まれ。1991年、札幌医科大学医学部卒。2004年からシカゴの イリノイ大学に3年間留学。帰国後、樺沢心理学研究所を設立。SNS、メールマガジン、YouTubeなどで累計40万人以上に、精神医学や心理学、脳科学の知識・情報をわかりやすく伝え、「日本一、情報発信する医師」として活動している。『学びを結果に変える アウトプット大全』(サンクチュアリ出版)、『読んだら忘れない読書術』(サンマーク出版)、『脳のパフォーマンスを最大まで引き出す 神・時間術』(大和書房)など著書多数。

 

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