「適応障害」なりやすい人・なりづらい人の特徴 「軽い不調」と見過ごすのは絶対NGな理由

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適応障害をなめてはいけない(写真:taa22/iStock)

「適応障害」という精神科の診断名を耳にしたことのある人は多いのでは。

女優の深田恭子さんが今年5月に適応障害で芸能活動休止を発表しましたが、9月には現場復帰されました。スポーツ選手や著名人でも、しばしば適応障害と診断されたという話をニュースで聞きます。

では「適応障害」とは、どんな病気のか? 「軽症のメンタル疾患」という印象ですが、実は放置したり、軽んじたりすると、たいへんなことになる可能性があるのです。

精神科の「とりあえず、適応障害」の危険

理由1:適応障害は「暫定診断」の可能性がある

内科の診断は、血液検査、レントゲンやCT検査など、客観的な検査データをもとに診断されます。しかしながら、精神科には、直接、診断に結びつくような科学的な検査はなく、「問診」と「観察」で診断していくことになります。

初診時に患者さんから、できるだけ詳しく話を聞くのですが、診察時間としては1時間くらいでしょうか。たった1回の診察で、あらゆる症状を根掘り葉掘り聞き出すことは不可能です。また、患者さんも、初対面の医師に対して、心をすべてオープンにすることはありません。例えば「死にたい」と思っても、それをいきなり最初から打ち明ける人は少ないです。

精神科の診断を正しく行うには、何ヵ月も観察する必要があります。「診断がわからないと治療できないじゃないか」と思うかもしれませんが、精神科では「病名診断」でなく、「状態診断」で治療していきます。

今の状態がどういう状態か? 「うつ状態」であれば、抗うつ薬を投与し、「不安状態」であれば、抗不安薬を投与する。そうした治療の効果、薬への反応も考慮しながら、数ヵ月治療、観察していくと、正しい診断にたどりつくのです。

しかしながら、明日から会社を休むためには、診断書が必要です。なので、初診時に暫定的に「診断名」を書く必要があるのです。その場合、書きやすい診断名として適応障害や、状態名である「うつ状態」なとが多用されます。

統計による「外来で精神科治療を受けている人のうち、適応障害を主診断とする人の割合は、およそ5〜20%である。病院での精神科コンサルテーションでは適応障害が最も多い診断名で、しばしば50%に達する」(医学書院『DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル」P285より)と言います。

この「50%」というのは、おそらく暫定診断を含んでいるのでしょう。「とりあえず、ビール」ではありませんが、「とりあえず、適応障害」で診断書が出されることが多いのです。

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