「社内政治」部長より「3年転職」職人が成功する訳 「人生100年時代」は「年齢や肩書き」で威張るな

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45歳からの人生をどうするか。それを20代のうちから考える時代になってきていると思います。

ただ、問題もあります。たとえば、リクルートには一時期、40歳定年という慣習がありました。もともと優秀な人が多い企業ですから、そこからコンサルタントに転職したり、起業したりして成功する人が多かった。とはいえ、誰もがそうできるとはいきません。

晩婚化が進む中での45歳と言えば、子どもがまだ小学生とか中学生という人も多いでしょう。その状況でいきなり放り出されると、子どもの教育費はどうするのかということになります。

普通の人が普通にちゃんと暮らすことができて、子どもを育てられる社会を作らなければなりません。「45歳定年制」には、私たちの生活という点で、一体どういう意味が含まれているのか。われわれはそこをきちんと問い直す必要があるでしょう。

新自由主義的発想から「職人」の時代へ

今のロスジェネ世代は、就職氷河期を経験し、非正規にならざるをえず、ずっと負け戦を強いられてきました。その中で、人生の一発逆転を狙うという感覚からか、2000年代には自己啓発本がはやり、新自由主義的発想で、勝間和代さんや堀江貴文さんのような成功者を目指す人が増えました。

でも、そうやって実際に成功できるのは、1万人に1人ぐらいのものではないでしょうか。やがてみんな諦めるようになり、2020年に入ってからはそういった自己啓発本も以前ほど売れなくなってきました。

ではこの先、どんな道があるのかと考えると、僕の答えは「職人」です。

といっても、「皿洗い10年」などの下積みを経るような昔の職人ではありません。僕の言う職人とは、例えばウェブ業界や書籍業界などある特定の分野で、技能や技術を一定レベルに保ち続けていて、つねに仕事がある人のことです。

大企業出身者には「私はジェネラリストです」と名乗る人が少なくないと聞きます。自分は製造現場を知るだけでなく、営業や総務なども一通り経験している、と。しかし、人材バンクの方いわく、それはジェネラリストではなく、その会社の専門家にすぎないというのです。

要するに、誰に話を通せば意思決定が速いかなど、その社内のことは熟知しているけれど、一歩会社の外へ出たら、何の役にも立たないということです。

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