「社内政治」部長より「3年転職」職人が成功する訳 「人生100年時代」は「年齢や肩書き」で威張るな

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マウンティングなどせずともに普通に生活ができて、健康な人を増やしていくべきだと思っていますが、非正規雇用が4割を超え、将来解消するかどうかもわからない状況です。そのなかで、多くの人がどうやって健康な老後を送れるかは、今後の課題になるでしょう。

現在バイアスと「45歳定年制」の是非

最近、サントリーホールディングスの新浪剛史社長が「45歳定年制」について発言して、大反発を受けました。ですが僕は、これからは45歳定年にならざるをえないところがあると思います。

振り返ってみると、1980年代までは、「55歳定年」でした。22歳で大学を卒業して、30年ほどしか働いていなかった。現在は少し延びて40年働くことになっています。これが「70歳定年」となれば、半世紀ほど働くことになります。

となると、半世紀も同じ会社にいるのかという問題が出てきます。若手からすれば、いつまでも上に同じおじさんがいて風通しが悪いという話になりますし、いずれ終身雇用ではなく、キャリアの途中で違ったステージにシフトするのが普通になるという見立てが妥当ではないでしょうか。

本書では「現在バイアス」にも言及があります。いま目の前のことが重要に思えて、遠い先のことには目が向かないというものです。

60歳定年が前提なら、「50歳から何かを学びはじめてもムダだ」と思うでしょうが、70歳定年、もしくはその先があるとなれば、「いくつになっても学びは重要」ということになります。だからこそ、「鳥の目線」に立って人生を俯瞰して考えることが大切だという主張ですが、まさにそのとおりです。

パナソニックやシャープなど、日本を代表した家電メーカーは、2000年代からの20年間で一気に凋落していきました。一方でそれらの会社で働いていた技術者が、アイリスオーヤマや中国メーカーに転職していきいきと仕事をしているというのはよく聞く話です。

実はそういったシフトは誰にでも可能なのですが、同じ会社にい続けると、外の世界が想像できなくなり、「そんなことは怖くてできない」と思い込んでしまうのではないでしょうか。

僕は12年間新聞社に勤めた後で辞めると決めてから、「外の世界で生きていけるのか」と怖くなったことを思い出します。ところが、一度転職してしまうと「なんだ、こんな簡単なものだったのか」と誰もが気づくのです。

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