「ウマ娘」超絶ヒットが作り出す意外に大きな潮流 ゲームやキャラクターに対する閾値を下げていく

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ウマ娘に話をもどすと、この作品は奇跡の復活といってもよいほど開発に難航したタイトルであり、開発構想は2015〜16年ごろから始まり、当初は2018年冬リリースとされた。それにあわせてアニメ製作も進められ、サイゲームス、東宝アニメーション、ランティス(現バンダイナムコアーツ)の3社出資の第1期は2018年4〜6月期に放送されるも、アプリゲームはその時点では間に合わず延期が発表されている。

製作指揮をとっていた石原章弘はバンダイナムコエンターテインメントで『アイドルマスターシリーズ』に携わっていた人物で、そのキャラクター育成手法のノウハウを存分に生かした競走馬擬人化コンテンツとして期待されていたが、同氏も2019年4月に退職したりと、プロジェクト自体の難航ぶりを物語っている。

だが、そこから長い改修期間を経て、満を持して2期アニメが放送・配信された2021年1〜3月にタイミングをあわせ、アプリゲームが2021年2月にリリースされた。構想からおよそ5年超の取り組みである。

そのゲーム性は存分にアイドル系アプリの手法を模倣している。美少女キャラクターとプロデューサーのような1対1の会話が深まり、キャラクター性をよりよく知れるバックグラウンドのストーリーが少しずつアンロックされていく。さらにはウマ娘それぞれのモチーフとなる競馬の歴史的なストーリーも織り込まれ、昔からの競馬ファンにも十分に刺さる内容になっている。飽和していたアイドルと音楽ゲームという組み合わせに終止符を打つような、美少女育成の新機軸である。

キャラ育成における革新性とサステイナビリティー

キャラクターの育成という意味では革新的ですらある。毎年7000頭のサラブレッドが生まれるが、中央競馬で勝利経験ができる馬は1500頭足らず、オープンに上り詰める馬は100頭(これがプロ野球選手や連載漫画家になるようなレベルだろうか)、GⅠレースで勝てる競走馬は20頭前後となる。競争率と淘汰のレベルではお笑い芸人や漫画家とそれほど変わらないが、それでも「毎年20頭の新しいウマのキャラクター・ストーリー」が生まれてくることはゲーム運営には福音だ。

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