「ウマ娘」超絶ヒットが作り出す意外に大きな潮流

ゲームやキャラクターに対する閾値を下げていく

第4の覇権アプリはトンデモストーリーだ(画像:『ウマ娘 プリティーダービー』公式サイト)
久しぶりに日本で生まれた大ヒットアプリ『ウマ娘』のブーム大爆発は、ゲームやキャラクターに対する閾値の低下を物語る――。エンタメ社会学者の中山淳雄氏による新著『推しエコノミー 「仮想一等地」が変えるエンタメの未来』より、第2章「『萌え』から『推し』へ」の一部を抜粋・再構成してお届けします。

市場全体を揺るがす覇権アプリ

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『ウマ娘』はサイバーエージェントグループの一角、サイゲームスによって開発されたスマートフォンゲーム、PCゲーム、アニメのメディアミックスプロジェクトである。競走馬を擬人化した女性キャラクターを育成し、競馬レースのように競走させていく2次元コンテンツである。

2021年2月にリリースされた『ウマ娘 プリティーダービー』は初月130億円の売り上げを達成し、そこから3カ月で約300億円の売り上げを上げた。いま日本のアプリ市場で最も売れているタイトルとなっており、3月末時点で週206万ユーザーがプレイしている。ユーザーの「平均」プレイ時間は1日133分、つまり2時間以上となっており、アプリゲーム全体の平均が87分であることを考えると、通常の1.5倍ほど長く遊ばれていることになる。

こうした月100億円、年1000億円クラスのトップタイトルはまれに生まれ、アプリ市場全体を揺るがす存在になる。2012年の『パズル&ドラゴンズ』、2013年の『モンスターストライク』、2015年の『Fate/Grand Order』がその代表例で、2016〜19年の4年間はこの3タイトルがずっと年間売り上げトップ3を占め続けてきた。変動が激しいようにみえるアプリゲーム業界も、一度数百万人〜1000万人単位のユーザーがつくと、そこから急落するということはほとんどない。

国内のアプリゲーム市場は2018年ごろには天井となる1.2兆円をつけて、「もう伸びない」と誰もが期待を薄めていた。その時代に『ウマ娘』は「日本初の、女性が競走馬となって走る」という“トンデモストーリー”で久々にこうした覇権アプリを作ることに成功した。2021年第1四半期の時点で世界ゲームアプリトップ10に入っている日本のタイトルはウマ娘の1本のみで、ほかはすべて中国とアメリカのタイトルである。

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