「ウマ娘」超絶ヒットが作り出す意外に大きな潮流 ゲームやキャラクターに対する閾値を下げていく
1つのゲームが生み出す経済効果は、かつての家庭用ゲームやアーケードゲームの比ではない。毎月200〜300人の開発者が関わり、そのタイトルに新しい企画やイベントを入れ続け、数百万人のユーザーが遊び続けられるようにあの手この手で毎日のようにそのゲーム空間を演出し続けるのだから。
パズドラを作ったガンホー・オンライン・エンターテイメント、モンストを作ったミクシィ、FGOを作ったアニプレックスの業績をみてもらいたい。1つのゲームがその後10年にわたってその会社の業績を牽引している。ガンホーは、パズドラ以前は売り上げ100億円未満の会社だったことを考えると、2012年から2020年までの約9000億円の上積み売り上げの大半がパズドラである。
もちろん運営の巧拙によって上下もあるし、その底支えには並々ならぬ努力が必要だが、1つの覇権アプリが1兆円規模の生涯経済圏を生み出すことを考えると、アプリ業界へのゴールドラッシュが促進されるのも納得である。
久しぶりに生まれた国産大ヒットゲーム
これだけ売れると、会社上層部の50代、60代の普段ゲームで遊ばない重役の目にもとまる。2013〜14年は「パズドラみたいなもの作れないの?」と見た目もゲームの進め方もパズドラ的なものが作られ、2015〜16年は「モンストみたいなの作れないの?」とモンスト型が量産され、2017〜18年は「FGOっぽいもの作れないの?」とストーリーを中心とした作品づくりに注力するゲームが出続けてきた。
しばらくこうした業界激震といったタイトルがなく、その合間に2019年の「七つの大罪 光と闇の交戦(グランドクロス)」「原神インパクト」のような韓国や中国開発のタイトルが日本市場でも目立つようになり(原神は開発費100億円とこれらのタイトルは開発規模があまりに大きいため、まねしろとは言われない)、もはや日本産タイトルでは日本市場ですら勝てない状況となっていた。
そこに久しぶりに『ウマ娘』という国産大ヒットが生まれたことは、日本のアプリ開発にとっては朗報だろう(ただウマ娘も過去3大タイトルの比にならない開発費のため、どこまで類似のものが今後出てくるかは不明)。
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