韓国の若者が「イカゲーム」に共感しかないワケ 韓国の超絶「格差社会」に何を感じているのか

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「ハンガーゲーム」の書籍や映画のように、「イカゲーム」はその暴力的なトーン、シニカルなプロット、そして(ネタバレになるが)ファンに人気のあるキャラクターの死をいとわない姿勢が観客を魅了している。

しかし、本作は、アメリカや西ヨーロッパなどの地域で人々の親近感を呼び起こしている。すなわち、貧富の差が拡大し、住宅価格が手の届く範囲を超えて上昇するにつれ、名目上は豊かな国でも成功を手に入れることが難しくなっているということだ。

セカンドシーズンの制作も交渉中

番組の制作者であるファン・ドンヒョクは、メールで次のように述べている。「登場人物のストーリーや問題は極めて個人的なものだが、同時に韓国社会の問題や現実を反映している」。

ファンが2008年に本作を映画として脚本を書いたときには、こうした傾向の多くが顕著になっていたが、新型コロナウイルスの影響など、新たな問題を反映させるために脚本を書き直した(Netflixのアジア太平洋地域向けコンテンツ責任者のキム・ミニョンによると、同社はセカンドシーズンの制作についてファンと交渉しているとのことだ)。

韓国の文化的輸出品の中でも、不平等や機会の減少といった韓国の深い感情を活かして世界の視聴者を獲得したものは、「イカゲーム」が最新だが初めてではない。

2019年アカデミー賞で最優秀作品賞を受賞した『パラサイト 半地下の家族』は、困窮した詐欺師の一家と、それに知らず知らずつけ込まれるソウルの裕福な家庭の人々を組み合わせた作品だ。2018年にヒットしたアート映画『バーニング 劇場版』は、若い配達人と裕福なライバルが女性の気を引くために対立する様を描いたことで緊張感を高めた。

韓国は戦後、アジアで最も豊かな国の1つへと急速に発展し、一部の経済学者は韓国の成長を「漢江の奇跡」と呼んだ。しかし、経済が成熟するにつれ、貧富の格差は深刻化している。

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