韓国の若者が「イカゲーム」に共感しかないワケ 韓国の超絶「格差社会」に何を感じているのか
演劇評論家で忠南大学現代文学科教授のユン・ソクジンは、「韓国人にはかつて共同体的な精神があった」と言う。しかし、1990年代後半のアジア金融危機は、韓国の成長物語を損ない、「皆が自分のために争うようになった」と指摘する。
現在、世界で最も裕福な国々の研究グループである経済協力開発機構(OECD)加盟国の中で、所得格差の指標の1つであるジニ係数は11位となっているアメリカは6位)。
韓国の家庭では家計を維持するために負債を増しており、経済学者の中にはこの負債が経済を阻害する可能性があると警告する者もいる。また、住宅価格が高騰しているため、住宅購入のしにくさが政治的な話題として大きな反響を呼んでいる。ソウルでは文在寅大統領の在任中に住宅価格が50%以上も高騰し、政治的スキャンダルに発展した。
20代がフルタイムの仕事を見つけるのは困難
コロナ禍が発生する直前の2020年1月に大学を卒業したシン・イェウンは、成功しなければならないという韓国における社会的プレッシャーと、それを実行することの難しさとの皮肉な矛盾を「イカゲーム」が露わにしていると言う。
現在27歳の彼女は、安定した仕事を探すために1年以上を費やしたという。「20代の人がフルタイムの仕事を見つけるのは、最近では本当に難しくなっている」とシンは言う。
韓国では、子どもを育てるにはお金がかかりすぎるという意識が若者の間で働いていることもあり、出生数が急減している。
「韓国では、すべての親が自分の子どもを最高の学校に通わせたいと思っている」とシンは言う。「そのためには、いい地域に住まなければならい」。そして、そのためには、家を買えるだけの貯蓄が必要だが、それはあまりにも非現実的な目標であり、「どれくらい時間がかかるのか計算したことすらない」とシンは話す。