むさしの森珈琲が「1人時間需要」で成功したワケ ジョナサンから「ゆとりの空間」への業態転換

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「接客もくつろぎの空間を演出する重要な要素となります。例えばジョナサンでは明るく声をかける元気な接客をしていましたので、まず新たな店のコンセプトを理解し、静かに語りかけるような接客方法に慣れてもらう必要がありました」(織部)

このように、むさしの森珈琲の台頭はコロナで高まった“ゆとりの時間”という新しいニーズが背景となっている。2021年はあと4店舗を都内や近郊に展開予定で、翌年については検討中とのこと。

北は北海道から南は佐賀県まで

同チェーンで面白いのは、いずれかの地域に集中することなく、北は北海道から南は佐賀県まで、ちりぢりに展開されているところだ。それでもホールディングスとして整備している全国10箇所のセントラルキッチンと物流インフラが、仕入れやコスト面での強みとなっている。

2021年になってからの増店は首都圏が多いようだ。むさしの森珈琲優勢の傾向はしばらく続くのだろうか。

すかいらーくレストランツ・営業本部長の織部始氏。同社はすかいらーくホールディングスのファミレス事業を行う企業で、同氏はむさしの森珈琲のほか、ジョナサン、ハワイアンダイニング&カフェ「ラ・オハナ」なども担当している(撮影:風間仁一郎)

“モノよりコト”消費への移行はコロナ前から指摘されているが、コロナを経て、“過ごす時間の品質”への要求がより高まっているように感じられる。すなわち飲食店では、店舗の外観内観、食事、接客などを含めた空間で、いかに豊かな時間を感じてもらうかが品質となる。

さらに“一人で過ごせる空間”へのニーズが高まっている今、ゆったりと過ごせるカフェチェーンを求める層は今後も一定の割合で存在し続けるのではないだろうか。

話題は転じるが、コンセプトや立地で同チェーンに比べられるのが、名古屋発のチェーン、コメダ珈琲だ。同様にゆったりとした座席の設えや押しつけがましくない接客がコンセプトとなっているのだが、オリジナルのスイーツ「シロノワール」やメガ盛り、トーストゆで卵付きのコーヒーなど、その“異文化”を感じさせるサービスが非日常空間をつくりだし、最近さらに人気が高まっているようだ。

カフェチェーンそれぞれの個性が感じられるところである。

圓岡 志麻 フリーライター

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まるおか しま / Shima Maruoka

1996年東京都立大学人文学部史学科を卒業。トラック・物流業界誌出版社での記者5年を経てフリーに。得意分野は健康・美容、人物、企業取材など。最近では食関連の仕事が増える一方、世の多くの女性と共通の課題に立ち向かっては挫折する日々。contact:linkedin Shima Maruoka

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