むさしの森珈琲が「1人時間需要」で成功したワケ ジョナサンから「ゆとりの空間」への業態転換
「食材をふんだんにしっかりと使うことで、ゆとり空間の中で豊かな時間を過ごしていただき、満足して帰っていただくため」(織部氏)とのこと。料理にも同店のコンセプトが通底しているわけである。
そのほか、クレープのような南フランスの料理、ガレットも、チェーン店としては珍しいメニュー。こうした軽食からステーキまで幅広くそろえており、カフェ業態ではあるが、モーニング、ランチはもちろん、ディナー用途にも対応する。店舗は限定されるが、クラフトビールも扱っている。
客の単価や人気メニューは立地によってさまざまだとのことで、武蔵野西久保店ではこのパンケーキとメイン料理のプレートを組み合わせた「フォレストスペシャル」(1650円)が一番人気。メインプレートはオムライスやドリア、パスタ、ロコモコの4種類から選ぶことができる。
客の反応や売り上げは?
このように、転身後のむさしの森珈琲は、ファミレスであるもとのジョナサンとはかなり趣が異なるほか、メニューの価格を見てもややランクアップしているようだ。客の反応や売り上げなどはどうだったのだろうか。
織部氏によると「オープン初日は祝日だったこともあり、開店後10分で満席になりました。1日の客数としては1000名を超えていたようです。その週末までの数日間は同じような状態が続き、準備していた冷蔵設備では足りず、追加工事を行ったほどです」と、想定以上の盛況だったようだ。
客層としては近隣住民が主体で、転換前からの常連客が多く訪れる。リピート率も高いようだ。
またやはり食スタイルの変化によるものか、このように居心地の良さに特徴がある店ではあるが、テイクアウト率も高く、サンドイッチなどの軽食がよく出るという。
客単価も以前とほぼ同じで、1100円程度だが、客数が多くなっているので売り上げ自体はアップしているそうだ。そのほか2021年に転換した15店についても売り上げは転換前よりアップしており、平均して35.8%増とのこと。
店舗の転換に際しては基本的に元のブランドと同じ従業員を登用し、事前教育と近隣店舗でのトレーニングを行った。メニューが大きく変わるため厨房設備やオペレーションから見直す必要があったものの、同グループでは人事制度や衛生管理、店舗の運営マニュアルを業態間で統一していることから、転換においてはスムーズだった。中でもとりわけ力を入れたのが、接客面でのコンセプトの表現だったという。
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