そもそも潜在成長率を正確に計測するのは極めて難しいし、それがどの程度各国で低下しているか確かな説明はない。
「潜在成長率の低下」によって、金利低下が説明されている現在の状況は、むしろ債券市場で過熱感が高まっていることを示していると筆者は考えている。
FRBが2015年の政策金利引き上げに向けて、想定どおりに準備を進める中で、下がり過ぎた長期金利は上昇するだろう。 加熱気味な債券市場よりも、最近の為替市場でのドル円相場の値動きが、各国の経済状況と各中銀の金融政策のスタンスをより正確に反映しているのではないかと、筆者は考えている。
ドル高円安の地合いは強い
2014年前半はほぼ連動していたドル円レートと米10年金利は、7月半ばから連動性が薄れている。米10年金利は年初来の水準まで低下する一方で、ドル円は円高に振れず、むしろ103円台~104円前後までドル高円安に動いている。
8月4日のコラム(「ドル円相場は『緊張の夏』を迎えている」)では、「米国経済回復+日本経済停滞」の構図が鮮明になるとお伝えした。予想どおりに日本の4~6月GDP統計は、個人消費が大きく下振れ、早すぎた消費増税が日本経済の大きな足かせになっていることが判明した。こうした状況を背景に、為替市場でドル高円安が進むと考えたが、実際にはさほど円安になっていない。
ただ、債券市場で米国金利がこれほどまでに大きく低下していても円高になっていなことを踏まえれば、ドル高円安の地合いは強いと言える。今後、低下し過ぎた米国金利が上昇すれば、円安に弾みがつき、ドル円は膠着状態を脱する可能性がある。
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