いよいよ、「一段のドル高円安」がやって来る

低すぎる米国金利反転、為替のこう着状態終了か

ドイツの10年金利が1%を下回ったが、これはかつての日本すなわち1998年にデフレが本格化し、金融システム崩壊でデフレスパイラルに陥った時と同じ水準である。かつて日本銀行が物価安定という目標実現に失敗し、デフレと経済停滞を長期化させた経緯を振り返れば、今のユーロ圏はかなり似ている面がある。市場がその将来を先読みし、今後のECBによる資産購入拡大を前提に、欧州債を買い上げるのは、理解できなくはない。

ただ、世界経済全体の成長率やインフレ率のすう勢に影響するのは、米国経済である。ロシア情勢の深刻化が、米経済を含めて世界的な景気減速をもたらすストーリーを想定しなければ、経済状況や金融政策では説明が難しいところまで、米国だけではなくドイツの金利も低下したとみられる。

欧州が日本と「同じ道」をたどらないためには?

 ところで、8月の大幅な金利低下をうけて、「先進各国の潜在成長率の低下」が金利低下の根幹にある、という市場参加者の声も増えてきた。

2013年後半に、潜在成長率に規定される実質金利が長期的に低下しているなどの議論が活発になったが、最近の債券市場のラリーをうけて、これを「後付けの解釈」として使う議論が散見されている。

長期にわたる経済成長の低下は、実際にバブル崩壊後の日本で起きたが、これをもたらしたのは供給側の問題というより、金融政策を中心とした総需要安定化政策の失敗が相次ぎ、デフレ⇔総需要抑制の悪循環から抜け出せず、長期にわたって総需要が抑制され、経済成長率の低下をもたらした面が大きかった。つまり、潜在成長(供給側の問題)というよりも、「政策対応の不出来がもたらした人災」ということである。

だからこそ、アベノミクスの第一の矢である、金融緩和策はもっとも効果を発揮しているのである。こうした意味で、欧州がかつての日本と同様の道筋を辿るかどうかは、ECBの政策対応次第である。

次ページ「潜在成長率低下の議論」が示すものとは?
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