TPP交渉の妥結を視野に入れると、農林水産大臣も予算上重要である。TPPそのものは、直接的に予算編成とは関係がない。農林水産省の予算もどんどん増額しているというわけでもない。しかし、TPPの妥結内容次第では、影響を受ける農家などに対して金銭的な補償を行う必要が出るかもしれない。そのときには、当然ながら補償のための予算を計上しなければならない。
ウルグアイ・ラウンド導入時の「二の舞」を避けよ
かつてウルグアイ・ラウンドをわが国が受け入れた際、巨額の補償を農業関係者等に行った。その支出内容が、温泉ランドを作ったり、農業の体質強化にならないハコものを作ったりなど、無駄な支出に充てられたと強い批判が出た。TPP妥結に際して、その二の舞にならないようにできるかどうか、内閣改造後の農林水産大臣の手腕が問われる。
内閣改造後の財政運営で、最大の焦点はやはり消費税率の引上げについての最終判断である。ただ、これに関わることになる主要閣僚は、早くも留任との予想が出ているから、消費税率を今年4月に引き上げることを決めた時と同じ顔ぶれでの最終判断となろう。他の大臣は、所管上この最終判断にはかかわりづらい。この主要閣僚は留任となると、この点は内閣改造後の焦点ではあるが、内閣改造の注目点にはならない。
来年度は、第2次安倍内閣が閣議決定した財政健全化目標の1つ目の目標を達成しなければならない年である。つまり、2015年度の国と地方の基礎的財政収支の赤字(対GDP比)を、2010年度のそれの半分にまで減らすことを達成しなければならない。
内閣府の中長期試算によれば、消費税率を予定通り10%に引き上げれば来年度は達成できるとされている。しかし、消費税率を予定通り10%に引き上げないとなると、その目算は完全に狂う。内閣改造後の財政運営をどうするか、内閣改造の方針から見えてくるだろうか。
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