文系の方が「夢をよく覚えている」人が多い理由 80歳超えると夢が減る?など夢の不思議を解説

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先生 それもあるけど、思っているほどは縮まっていないかも。ご年配者は早おきになったり、リズムが変わっているだけで、睡眠時間自体は中年とそれほど変わらないわよ。そもそも就寝時間がはやかったり、昼寝をたっぷりとったりしていますもんね。

でも、80歳以降になるとレム睡眠の割合が減少するのね。あとは、処理する刺激も少なくなるのかも。ありとあらゆる体験をして、人生の総まとめ期に突入しているから、記憶もある程度整理され、夢もみなくなるのかそのあたりはさだかではないけれどね。「人生のふりかえり」の夢は多いと思うよ。

数理的な知能や動作性知能のピークはたしかに25歳前後なんだけど、語彙や概念の整理などの言語能力は保持され伸び続けるのよ。だから、かなり古いときの記憶、現役時代にがんばってきたことがメインテーマとなった懐古的な夢になるのかな。

だからといって、ご年配の方の夢の特徴はたんに白黒の夢というだけではなく、豊かな人生経験に基づく中身の濃ゆ〜い夢だったりするかというと、夢ってそんな単純じゃないわよう。それに現代のご年配者の夢のなかにはスマホだってでてくるんだから。

たとえば、女子高生になった高齢女性が、ラグビー部の彼が就職内定した設定で、「仕事がんばってね! 私はカウンセラー目指すから!」とLINEで伝えた夢とか(笑)。実際にカウンセラーの先生だけど、ラグビー部の彼には心当たりがないとか。「電話がつながらない夢」をみる人も、黒電話からプッシュホン、スマホと時代に合わせてかわるんですって。(注1)

「夢をよく覚えている人」の特徴

職業ごとの睡眠や夢のパターンにも傾向があるわね。自然科学系と人文科学系をざっくりわけると、後者のほうが圧倒的に夢をおぼえていることが多い。(注2)

夢のディテールを説明したり、全体のストーリーをおもしろく話す。つまり、夢を思いだすことは言語化能力に依存するの。さっきもいったように、人文科学系の人のほうが夢をおぼえている割合が多いのは、言語化することに慣れているからかもしれない。

個人差はあるけど理工系に加え、弁護士のような職業も夢をおぼえてない部類の仕事に数えられるわね。論理を司ることが多い仕事に従事している職業と整理できそうね。いわゆる、左脳的な人のほうが夢をおぼえていないということになるかもね。

いっぽうで、芸術系の人はよく夢をみている。もしかしたら、大半の人にとってはとるにたりないことでも、芸術系の人が内側でもっているスキーマ(注:過去の経験や外部の環境に関する構造化された知識の集合)に夢に出てくるイメージが入るからおぼえているのかもしれない。

逆にいえば、いまはそれほど自分の夢をおぼえていない人でも、意識的に右脳をトレーニングすることで夢をみられるように、言い換えるとおぼえていられるようになるのかどうかはちょっとわからないけれど、イメージを意識的に言語化したり、イメージ能力を活性化することは可能でしょうね。イメージ能力さえ使えれば、豊かな情報量からなる夢はみられるし語れるのね。

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