「ジョブ型採用」は「新卒一括採用」に「ジョブ重視」という考え方を取り入れた手法で、あくまで、初期配属の職種や配属部署を確約するなどして、「学生が入社後すぐに何をするのか」を明確にするものだ。
企業は学生に対して「希望する仕事ができる」ことを提示することで優秀な人材を確保し、”わからない”ことに起因する不安感(内定ブルー)の解消を目的としている。学生にとっても、初期キャリアの段階で「(仕事を通じて)何ができるようになるのか」を知ることができ、仕事内容が明確になることのメリットは大きいだろう。「ジョブ型採用」は現在の雇用制度のメリットを残しつつ、あらかじめ仕事内容を提示して、就職先を仕事軸で選ぶ機会を提供することができるのだ。
こうした動きはまだ少数派だが、学生の就職活動においても意識変化が生まれることが想定される。
「自分が入社後数年間でどのような仕事ができるか」という「仕事軸で就職先を選ぶ」という選択肢を持つようになるのだ。一方、多くの企業は「総合職採用」のスタイルが主流で、学生が入社後の業務内容や配属について入社前に知りたいと思っても、企業側は明確なことを伝えるのが難しい場合もある。
しかしながら、企業によっては、新入社員の多くが配属されやすい部門が存在する場合もあるし、その企業の事業内容から職務内容を想定することは可能だろう。その企業の仕事内容に関して、内定承諾の前にしっかりリサーチして、少しでも情報を得ておく、という方法もあるのではないだろうか。
就活生が考えるべきこと
もしジョブ型採用が広がれば、就活生は「どのように生きたいか」を主体的に考えることがより求められる。就職はゴールではなくて、キャリアのスタート。自分のキャリアに責任をもち、どのようなキャリアを築きたいか考えていくことが重要となる。
そうすれば、学生時代に身につけておくべき能力や経験などが具体的に見えてくるのではないだろうか。新卒採用は確かに育成前提の採用手法だが、ゼロベースのスタートでは時間もコストもかかる。変化や競争が激しい状況のなか、より短期間で戦力化することが求められることも十分にありうる。そうしたなか、成長スピードを上げるために、学生は「仕事を学ぶ準備ができている状態」にしておくことが、大きなアドバンテージになるだろう。
例えば、専攻内容がそのまま仕事につながるのであれば、まずは学業を頑張る、でももちろんよい。プログラミングやデータ分析力、語学力、卒業論文を書く際に磨かれる文章構成力もそうだし、ホスピタリティが必要な職種ではボランティアといった課外活動そのものがスキルを磨く活動といえる。
上記のような活動は就活中に自己PRにつかわれるエピソードのように思われるかもしれないが、目的が異なる。「経験したことを語り自分をPRする」ためではなく、「今後、自分が働くうえで必要だからスキルを身に付ける」という目的である。「働くうえで必要だからスキルを身に付ける」という姿勢で取り組めば、学びの質も量もより充実したものになるのではないだろうか。この前提に立つと、自分が企業に入社してどんな仕事ができるのか、という情報が前もって必要になってくることは言わずもがなである。
就職活動のゴールは内定獲得ではない。少し視点を先へ持っていき、「卒業後、社会に出て活躍できる人材になる」ことを目標に、日々の活動に取り組んでみてはどうだろうか。
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