「アイディア出し」と「意思決定」会議わけるべき訳 アイディア量が増え「会議時間」も節約できる

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前回前々回の記事でお伝えしたように、トップ5%の優秀なリーダー(以下、5%リーダー)は相手に話させるのが上手です。相手の行動を促すために、一方的な伝達ではなく双方向の対話をしようとします。

相手が安心して話せるように雑談や表情で心理的安全性をまず確保し、オープンクエスチョン(自由回答方式の質問)やクローズクエスチョン(Yes/Noなど回答範囲を限定した質問)を組み合わせて相手に考えさせるように質問します。相手の気分が乗ってきたら、さらに多く話させることで相手のテンションを高めることもできます。「聞いているより話しているほうがエネルギーレベルが上がる」と総合商社に勤めるトップ5%リーダーが話してくれました。

一方で、部下の一般社員2.9万人を対象に「話しやすいリーダーの特徴」を聞いたところ、1位は「しっかり聴いてくれる姿勢」、2位は「普段から頻繁に会話してくれること」、3位は「安心感がある、話しやすい間や空気」など雰囲気に関するものでした。

そこで、1位の「姿勢」と3位の「間や空気」を解明すべく、5%リーダーのオンライン会議もしくは1対1の対話の解析を行いました。

5%リーダーのある特徴

217名のリーダーが聴く様子の動画を約500時間入手し、5%リーダーの共通点は何か、その他の管理職との違いは何かを弊社のコンサルタントが確認しました。

すると以下のデータが抽出されました。

・5%リーダーのうなずきは平均12㎝。その他リーダーより33%深くうなずいている
・5%リーダーは1つのうなずきに平均1.1秒かけている。一般的な管理職より1.5倍ゆっくりうなずいている
・5%リーダーが、相手の話にかぶって発言した回数は10分につき0.2回。その回数は一般的な管理職の3分の1以下である

このデータを基に、精密機器メーカーで管理職向けワークショップを年に4回実施しました。1対1の対話の頻度を月に1回強制したり、次の3つのルールを日常の対話に取り入れてもらいました。

[うなずきの3つのルール]
①意識して大きくうなずく。オンラインの対話では自分のビデオ画像がはみ出すくらいに大きくうなずく
②意図的に普段よりゆっくりうなずく
③相手が話し終わったと思ったら、心の中で「うん」と言ってから話しはじめる

部下から上司へのフィードバック制度も同時に導入しました。2020年5月から開始し、62%のリーダーに1年を通じて、この3点を考慮して対話を重ねてもらいました。38%のリーダーはワークショップに参加したものの、行動を変えて習慣にすることはできませんでした。

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2021年4月に弊社が働きがい調査を行い、この精密機械メーカーは3ポイント働きがい指標が向上しました。そして、3つのうなずきメソッドを習慣化させた62%のリーダーの組織は平均して6ポイントの向上となっていたのです。

直接的なインパクトを測ることはできません。しかし、うなずきメソッドを習慣化させたリーダーの組織すべてで、働きがい指標がポイントアップしていました。さらにうれしいことに、うなずきメソッドを習慣化したリーダーの6割以上が「メンバーとの対話が楽しくなった」と答えているのです。

正確な相関関係は導きだせませんでしたが、しっかり聴く姿勢を示し、相手に心地よく話させる雰囲気を出せば、対話をする上でプラスになることは間違いなさそうです。

みなさんもぜひ、実践してみてください。

越川 慎司 クロスリバー代表取締役

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こしかわしんじ / Sinji Koshikawa

通信会社、ITベンチャーの起業などを経て、2005年にマイクロソフトに入社。業務執行役員としてPowerPointやExcelなどの事業責任者などを歴任。2017年に株式会社クロスリバーを創業。ムダ取りコンサルタントとして800社以上、17万人を超えるビジネスパーソンの効率アップを支援。日常業務にひそむ「名もなきムダ仕事」の撲滅に注力する。「株式会社クロスリバー」では、メンバー全員が週休3日・週30時間労働を継続。著書に『仕事ができる人のパワポはなぜ2色なのか?』(アスコム)ほか多数。

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