“踊れない国”日本、風営法は緩和されるか クラブで朝まで踊れるようになる?

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こうした中、12年5月にはダンス業態を風営法の規制から外すことを訴えた署名(Let's DANCE署名推進委員会)活動が始まり、これまでに16万人以上が署名。さらに、今年4月に大阪のクラブ「NOON」元オーナーが風営法違反に問われた件で大阪地方裁判所が無罪判決を下したほか、6月に政府の規制改革会議が取りまとめた答申にも、ダンスにかかわる風営法規制の見直しが織り込まれた。

12年に警察庁が示した風営法の運用基準で、規制対象をペアダンスが行われる営業と限定したことも、緩和を求める声を後押した。

ペアダンスが規制対象に

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「ダンス系」の風営法営業店舗数の推移

警察側は規制理由を「男女の享楽的雰囲気が過度にわたり、善良の風俗と清浄な風俗環境を害し、少年の健全な育成に障害を及ぼすおそれがある」としている。が、早稲田大学准教授で風営法に詳しい岩村健二郎氏は「ペアダンスを規制するのは警察の裁量を越えている。ある社交ダンスの団体が公民館を借りようとしたら、『男女の享楽的なダンスかもしれないから貸せない』と風評被害を受けた例もある」とこれに反論する。

六本木でサルサクラブ「パライソ」を経営するラテンワークスコーポレーションの田中雅史CEOも、「ペアダンスは文化。外国人のお客さんも、禁止されていることにびっくりするし、説明しても理解してくれない」と話す。

同店は今年2月に風営法の営業許可を取得しているが、田中氏が以前無許可で営業していた店は摘発され、マネジャーらが逮捕されている。それでも多くの店が依然許可を取らないのは、「取ると深夜営業ができない。店が完成してから申請を出すが、許可が下りるまで約2カ月かかり、賃料などの負担が大きい」(同)といった理由からだ。

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