“踊れない国”日本、風営法は緩和されるか クラブで朝まで踊れるようになる?

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ただし、仮に規制見直しがあっても、どの程度緩和されるかは微妙だ。

警察が臨時国会に提出する改正案のたたき台となりそうなのが、警察側の意向を反映した修正案といわれるもので、ダンス議連の改正案と比べて後退している(上表)。たとえば、ダンス議連の案は9・5平方メートル以上であれば営業可能とするよう求めていたが、修正案は現行の66平方メートル以上に戻っている。
 これに対して、音楽業界や風営法に詳しい齋藤貴弘弁護士は「時代の先端を行くダンスや音楽は、最初は実験的だったり草の根的なものだったりすることが多い。現行のままでは、新しいものを発信していくような場所が切り捨てられてしまう」と、危惧する。

 緩和すればビジネスチャンスも

立地も大規模繁華街で指定された場所となると、家賃の高騰が考えられる。また、地域が限られるほど利権が生じやすく、悪徳業者が入り込んでくるようにもなる。齋藤弁護士は「クラブの中には、ダンスを利用して問題ある営業を行っているところもあるが、危険だからと一律に網を掛けるのではなく、ピンポイントでやるべきだ」と語る。

一方、ダンスを風営法対象外とすることで、企業のビジネスチャンスが広がるとの見方もある。たとえば、ある高級ホテルでは音楽が流れると踊る人が出るため、夜中の生演奏をやめた。風営法の許可を取る選択もあったが、一流ホテルが風俗営業の許可を取ることはまずない。が、ダンスを風営法の対象外にできれば、「経済効果は大きい。一般企業がイベントに取り入れるなど、ダンスを核とした新しいビジネスが作れるようになる」(小坂議員)。

中途半端な規制は文化の発展を妨げるだけでなく、違法性の高い業者を生みかねない。大局的な視点に立った判断が求められる。

「週刊東洋経済」8月23日号(18日発売)、「核心リポート06」を転載)

高橋 志津子 東洋経済 記者

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たかはし しづこ / Shizuko Takahashi

上智大学法学部国際関係法学科卒。東洋経済新報社に入社後は、会社四季報、週刊東洋経済、ムック、東洋経済オンラインなどさまざまな媒体で編集・執筆を手掛ける

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