デキる人は時間を「伸び縮み」させている 「時間がない」という妄想から自分を解放する秘訣
よく、「仕事に行き詰まったら自分なりの気分転換をしてください」といったことが言われます。それは確かに「太い時間」と「細い時間」の間に、ある種、「デジタルな区切り」をつける意味で、有効なテクニックです。
「太い時間」からだんだんと「細い時間」に移り変わってきたら、そのまま効率の落ちた状態でだらだらと仕事をするのではなく「終わり」をキチッとつける。そのほうが、次の「太い時間」に万全の態勢で臨めるというわけです。
しかし、それだけでは十分ではありません。太い時間と細い時間にうまく乗っていくためには、「身体」を使った心理的アプローチが重要となります。
例えば気分転換ひとつとっても、身体を使って歩き、空間的に移動していくということの意味は非常に大きい。仕事場からちょっと外に出る、5分でもいいから散歩する。そうすることによって、時間の「太さ」は大きく変化するんですね。
身体を動かすことが時間を「太く」するワケ
少なくとも、デスクワークに従事している人が、気分転換のときにパソコンの画面を眺めたり、スマートフォンでtwitterを見たりするよりは、絶対、歩いて、移動したほうが「時間の切り替え」という点では有効なのです。
「細い時間」が永遠に続くと思いこんでいる人は、いわゆる抑うつ状態といえます。うつと躁が交互にくる双極性障害(躁うつ病)の場合はまた別ですが、沈み込んだ状態がずっと続いてしまういわゆる「うつ病」の場合、身体を動かす運動療法に一定の効果があることが知られています。そこにはもちろん、生理学的なメカニズムもあると思いますが、「移動する」ことによって、「細い時間」から「太い時間」へのシフトチェンジが起きる、という側面もあるのではないかと僕は考えています。
仕事や、作業に行き詰まったら、散歩に行く。散歩しながら、細くなっていた時間がだんだんと、太くなってきた感覚を探る。それを待ってからデスクに戻ると、それまで感じていた閉塞感が嘘のように消えています。
よく、「時間がもったいないから」と食事や移動中にパソコンを開いて仕事をする人がいますが、単に「仕事をしている(ように見える)時間」を増やしても意味がありません。もちろん、「私は電車の中でパソコンを開いているときが一番集中できるんです」という人はそれでもいいのですが、「時間の太さ」を作っていく、という点でいうと、そうやって切れ目なく仕事や作業を続けることは、あまり効果的とは言えないと僕は考えています。
食事をしているときは食事に集中する、移動するときは移動することに集中したほうが、上手に「太い時間」を作り、結果的に成果を上げることにつながるだろうと思います。
プレタポルテの関連記事「近頃の新入社員は主体性に欠ける」と感じる本当の理由(名越康文)
驚きとは、システムのほころびを愛でること(名越康文)
30代以上だけが気づいていない「ノーリスクのリスク」(城繁幸×竹田圭吾)
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら