北海道「サケ獲れずブリ豊漁」で漁師が落胆する訳 北の「海の幸」の構図に異変、背景に温暖化も
ここでひとつ注目したいレポートがある。国立研究開発法人「水産研究・教育機構」の水産資源研究所がまとめた「北太平洋におけるさけます資源状況と令和2年(2020年)夏季ベーリング海調査結果」である。
この調査結果によると、北太平洋全体のさけます類漁獲量は、ロシアおよび、アラスカで減少傾向となった。これまで同地域はそれぞれ増加・横ばい傾向であったが、潮目が変わったのだ。
特に2020年はロシアではサケとカラフトマス、アラスカではサケの漁獲量が大きく減少した。カナダやアメリカ南部3州(ワシントン、オレゴン、カリフォルニア)、日本、韓国では引き続き漁獲量の減少、あるいは低水準が続いている。その結果、2020年の漁獲量全体は対前年比で6割程度に減少したという。
また、同調査によると、2014年ごろからベーリング海の水深200mまでの海水温が高い傾向が続いている。こうした北太平洋における資源や海洋環境の変化が、「日本に回帰するサケ資源の動向とも関連していると考えられる」としている。
水産資源研究所の担当者は「稚魚がオホーツク海にたどり着けるかどうかが最大のポイント。そのためには、環境変化にも生き残れる活きのいい稚魚をつくるなど資源回復に向けた取り組みを行っています」と語る。サケ資源の回復は長い目で見守っていくしかないのだろう。
存在感増す「ブリ」新メニュー続々
話題をブリに移そう。かつては道民にとって馴染みのなかったブリが、この数年で一気に認知度を上げ、食材としての存在感を高めている。
北海道の一大観光地・函館は、2018年にブリの水揚げが全国3位に、2019年には名物のイカの供給量を上回った。そうした状況を受け、函館では「はこだて海の教室実行委員会」が日本財団「海と日本プロジェクト」の一環として、新たなブリ食文化を定着させようと昨年からさまざまなメニューを考案、開発している。
昨年は下処置したブリに衣をつけて揚げた「函館ブリたれカツ」を、今年5月にはその進化系として「函館ブリたれカツバーガー」を、そして今度はうまみ成分イノシン酸に着目して製造した「ブリ節」でだしを取った「函館ブリ塩ラーメン」を開発した。
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