千葉の酒屋が清澄白河で「角打ち」を始めたワケ アルコール提供制限の影響を大きく受けたが…

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次に同社の特徴として挙げられるのが多様な店舗展開だ。目的来店型の本店、駅ナカ、銀座一等地、ファッションビル内と、さまざまな用途、客層に訴える店舗展開を図っている。

IMADEYA SUMIDAの酒販コーナー。定番のお酒から、同社スタッフがセレクトしたものまで各種そろえられている(筆者撮影)

とくに2019年にオープンしたIMADEYA SUMIDAは「すみだフードホール」というフードコートの一角に設けられており、料理を楽しみながら一杯やれる“角打ち”が目玉の店として、多くの愛酒家を引きつけてきた。

角打ちは営業する側から言っても、販売のみの店舗に比べ、一杯売りに加えおつまみの利益が見込めることから生産性が高い。客の好みを直接見聞きできるためマーケティングにも有利だ。

アプリと連動した店舗

そして8月5日には、コロナの社会状況での新たな試みとして、角打ちのできる小さな店「いまでや 清澄白河」をオープンした。

同店はさまざまな意味でユニークな店だが、まずサービス面での特徴を挙げると、開店とともにリリースした新ECサイト・アプリ「はじめの100本」と連動していることだ。

これは「はじめの」とあるとおり、お酒の初心者が楽しめるサービス。店舗にそろえているのは、同社従業員が初心者にこそ勧めたい100本のみである。もちろんその店舗でも購入できるが、ウェブやアプリを通じて会員登録するとお酒選びをサポートするサービスが利用できる。

アプリ「はじめの100本」で、「愛嬌がある」というタグで検索した結果(筆者撮影)

日本酒、ワインなどのカテゴリーでも選べるほか、「親しみやすい」「大人っぽい」といった“お酒の性格”によってタグ付けがされており、感性的な選び方ができる点で新しい試みと言える。また、自身の飲酒履歴や感想を書き込むことができるほか、ほかのユーザーのレビューも参考にすることができる。もちろん店舗に行かずとも、そのままタップし購入が可能だ。

お酒の味の選定基準というと、例えば日本酒なら甘い辛い、スッキリ、どっしりなどがあるが、実のところ、お酒を飲み慣れていない初心者にはわかりにくい。「はじめの100本」ではそうした既存の基準をあえてなくし、難しく考えずに選べるようになっていることがポイントだ。

同アプリのダウンロード数は約2000件、会員数は1488人、また週ごとに100件程度はレビューがアップされているという。

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