経営者が会社で「邪魔者扱い」されないための秘訣 「ライフ・シフト2」が問う「企業の価値とは何か」
要するにクリエイティブな要素が重要です。だから意識して探求心を持ち続け、従業員に刺激を与え続けていかないと、いずれ邪魔なおじさんになってしまう。
時間をかけて成長したからこそ得たもの
キャリアアップのためであれ、リフレッシュのためであれ、どちらの学びも人によって当然中身は違ってくるでしょう。また会社の規模や業務内容によってもできること、できないことはあります。
機密保持が重要となるような業務をしている企業の場合、僕のように社長が海外に行ったまま2年半も出社しないとか、北海道に住んで週に1回しか会社に顔を出さないといったことは難しい。だから全員に通用する解答はないし、やはり各自が開拓者として切り拓いていくしかないと思います。
僕らの会社は創業から18年経ちます。設立後すぐに上場したとか、世の中を席捲するスピードで成長したということはありません。それはひとえに経営者である僕の至らぬ点です。ただ一方で、時間をかけてここまで来たことで得たこともたくさんあります。
さまざまな失敗を繰り返しましたが、今は信頼できる経営チームに恵まれました。また独自で創っている ビジネスモデルを生み出し、長く続けていてもなお革新的な可能性を秘めていると心からワクワクできる 事業を運営できています。
仲間に対する信頼、事業に対する確信、こうした目に見えない価値を生み、かつ信じることができているのは、地道に経営してきたことのメリットです。これらの「無形資産」が、コロナ禍でも業績を伸ばしていくことができている根本にあるのではないかと僕は思っているんです。
『ライフ・シフト』は、どちらかというと個人の人生設計が主要なテーマでした。『ライフ・シフト2』では、もちろんそうした要素もありつつ、社会全体を俯瞰する視点が示されています。
今回の新刊で強く求められているのは、一人ひとりが創意工夫をして道を切り拓く、社会的開拓者になりなさい、ということ。僕は、法人でもそれが必要だと思っています。
自分たちで考えながら道を切り拓いて、アクションを起こしていかなくてはいけない。そうした中で一番重要なのは、結局は人と人とのつながり、信頼関係です。従業員の「無形資産」が、企業の「無形資産」につながる時代だと僕は思っています。
(構成:笹幸恵)
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