経営者が会社で「邪魔者扱い」されないための秘訣 「ライフ・シフト2」が問う「企業の価値とは何か」

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「ポッセ」とか「ビッグアイデアクラウド」とか、あるいは「コミュニティ」と、表現の仕方はそれぞれに異なりますが、要するに「無形資産」としての人的ネットワークです。

アップデートされた人生論

今回のコロナ禍では、これまで朝の9時に出社して8時間働くことに対して給料をもらっていた人たちが、出社できず、相互監視がまったくできない中、自主的に働かなければならない状態になりました。

こうなったときに、相互監視などなくても自発的に皆が働いているという信頼や、オンラインでも相互に信頼して協業できるという環境を持てているということには、ものすごい価値がある。それこそが現代社会における「無形資産」だと僕は思っているんです。

『ライフ・シフト2』は、前作に比べると学術的な筆致はあるものの、世界的なデータや具体的な事例が多く盛り込まれています。壮大な社会実験が行われている中で、自らが「社会的開拓者」として、さまざまなことにチャレンジしていく時代。そんな時代の、寿命や経済といっただけの話ではなく、総合的な人生論と言えるでしょう。

その意味で、『ライフ・シフト』の続編というよりアップデート版であり、コロナ後の世界を考えるうえで参考になる内容だと思います。

●もうオフィスはいらない?

僕らの会社には、さまざまな地域で勤務している従業員がいます。宮古島で働いている人もいるし、オーストリアで働いている人もいる。入社してから一度も会ったことがないので、「じつはVRじゃないか」と噂される女性従業員もいます(笑)。

僕自身、普段は東川町(北海道上川郡)に住んでいて、東京のオフィスに来るのは、週に1回程度です(緊急事態宣言時を除く)。だからこそ社員との「関係づくり」をどう行っていくか、それが会社にとって本当に重要になってきていると思いますし、またそこに投資をしていく時代になってきていると感じます。

オフィスの意味合いも変わりました。僕らの会社では従業員が急増しています。本来ならば今の家賃の2倍くらいを支払って働くスペースを確保しなければならないのですが、コロナ禍なので、スペースを大きくしていません。言うまでもなく、在宅で働く人が増えているからです。

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