商船三井の株主総会、53億円の追徴課税に「国税は理不尽、必ず勝ちます」と芦田社長が公言
商船三井は6月22日、株主総会を開催した。総会では、今後の事業展開に加えて、国税からの追徴課税についての質問が相次いだが、芦田昭充社長(現在は会長)以下、会社側の主張の正しさを強調する回答が目立った。
株主からの最初の質問も、53億円の追徴課税に不服を申し立てている件についてだった。米谷憲一副社長(現在は退任し顧問、以下同)は「ご心配ない」としたうえで、用意していたスライドを用いて、アライアンス(コンテナを相互融通する共同組織)での米国ターミナル子会社への支払い形態を示し、商船三井の主張が正しいことを説明した。
「外部のコンサルタントからも我々が正しいと認識していただいた。取り戻せることを前提に、第1四半期(10年4~6月期)に30億円の税金を計上するが、期初の想定よりも増益となる部門もあるので業績予想を変えるつもりはない」とした。
芦田昭充社長(現在は会長、以下同)は、「国税のやり方は極めて理不尽。商船三井は正しく透明性を持って情報を開示し経営している。問題とされた取引は、1995年から同じやり方でやっている。西海岸の米国PMA海事協会が示している平均のターミナル費用を文書で提出したが、国税はこれを認めないという。米国ターミナル子会社の取り扱い個数で割ると米国海事協会の平均コストと一致するのだが、これも認めないという。不服審判所に不服を申し立てたが、勝てば4%の金利がついて返ってくる。これは必ず勝ちます」と明言した。
この問題に関連し、別の株主からの「書類に適正なターミナル使用料である300ドルと明記しなかったのはなぜか」という質問に対しては、芦田社長が「アライアンスを結んでいないところとは300ドルで契約を結んでいる。ところがこれも国税は認めないという。ある取引のみ200ドルと書いてあれば適正価格は200ドルだとする国税は、少しシミがあれば白い紙はすべて黒だと言っているようなものだ。もし国税の主張が正しければ、米国の税当局は逆粉飾だと問題視しないとおかしいが、そんなことは起きていない」と回答した。
「船隊規模の中期的な拡大計画について、2015年度までに世界全体ではどのくらい増える前提か。為替見通しはどうか」という質問に対しては、芦田社長が以下のように回答した。
「当社を含めた世界全体の船隊規模は、新造船が加わる一方で古船のスクラップもありなかなかむつかしいが、世界全体では6~7%、エイヤっで伸びるだろう」「収入はほぼ100%ドル建てで、支払いは100くらいの通貨でしている。最後は全て円貨に引き戻す。より有利な税制の海外に商売を持っていこうとすると、5~6年分の税金がそれこそ移転税制でかかる。ただ、現地人を採用して、すべて現地人で取り仕切る会社はすでに設立していて、会社運営を始めている。海外でもうけた資金は海外の税制に基づいて税金を支払い、再投資に回している」。