「妖怪ウォッチ」、爆発的ヒットの極意(中) 仕掛け人が語る「子供向け企画」の正しい作り方

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――クロスメディア展開は、コンテンツに自信がなければできないと思います。何が売れるかが分かってくるものなのでしょうか?

わからないです。だから売れて欲しいなと思いながら作るしかないんじゃないですかね。

――ただ、『イナズマイレブン』、『ダンボール戦機』に続く第3弾の妖怪ウォッチは、過去に比べるとやりやすさのようなものがあったのでは。

まさにそうです。1作目、2作目でいろいろやってきて、いろんな人間関係を作ってきた。そこには多少なりとも信頼関係があって、こういうのを作りたいと言うと、すぐに「わかりました。やります」と言ってくれる方がたくさんいる。そういう意味ではもうプレゼンテーションの必要なしに、話を先に進められる部分は相当ありました。

――イナズマイレブンの時はゲームが発売されてから2カ月後にアニメが始まりました。ということは、その前からアニメを準備している。

そうです、そうです。だから最初の時点でゲームに、アニメに、すべてに同時に使える企画書を作って、同時進行しているんです。

絶対に失敗したくなかった

――一番最初にこれがあって、何カ月後かに次を出して、そのまた後に漫画を出してとか、ある程度のロードマップがあるわけですよね。

そういうグラウンドライン(基準になる線)みたいなものを作ってやります。

――イナズマイレブンでクロスメディアをやろうと思った理由は?

レベルファイブとして本格的にクロスメディア展開した『イナズマイレブン』。ゲームソフトは2008年8月に発売。その2カ月後にテレビアニメの放送を開始した。©2013 LEVEL-5 Inc.

その前に「レイトン教授」をやって大きくヒットしました。これは大人向けの作品だったので、今度は子供向けを作ろうと思ったんです。絶対失敗したくなかったので、作品を子どもたちに伝えるためにはどうすればいいのかをいろいろ考えました。

子供たちってお金がないわけですよ。例えば4800円の新作ゲームソフトを買うなんて非常に厳しい。まずは、子供たちにお金のかからないところでコンテンツを見てもらわないと、という発想から漫画とテレビから始めた。漫画は数百円ですし、テレビアニメはタダで見られる。そういったところにまずコンテンツを置いて、気に入ってもらって浸透したところでゲームを出していけば、相乗効果で売れるのではないかという発想をしたんです。

ゲームがあってアニメをやって相乗効果が生まれている前例もあった。だから、最初の段階からゲームも含めて全部お膳立てしておくことも可能ではないのかと。

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