しかしながら、今のペースでは、気温上昇を2050年までに1.5度以内に抑えることはできない。民間セクターにおける目標の実行が鍵を握る。
「21世紀型の企業」
社会の分断と緊張が高まる中で、企業は短期的な企業業績だけでなく、個々人の能力向上、職場のウェルネス(健康)の向上、エンドユーザーへの貢献、環境への貢献などを通じて、社会と調和的な発展を目指すことが求められている。さまざまな研究により、こうした方向は企業の競争力を中長期的に向上させることが明らかになっている。前述のMEGA25の多くは、こうした側面においても、先進的な取り組みを行っている企業が多い。
ネクスト・ノーマル(新常態)における成長を、デジタル/AIなどの技術が牽引することに疑いの余地はない。デジタル化を進める最も経済効率の良い方法は、大規模なリスキリングを成功させることである。企業にとって、コスト効率が良く、前述のワークシフトによるショックを和らげる社会的な効果も期待できる。
ダイバーシティー(多様性)の推進が、企業業績にポジティブな影響を及ぼすことが、明らかになってきている。しかしながら、前述のとおり、コロナ禍でリモートワークが進む中で、ワーキングマザーの負担が増えており、ダイバーシティーへの取り組みは正念場を迎えている。
ウェルネス(健康)管理の経済的な効用の研究が進んでいる。コロナ禍を契機に企業は従業員の健康に関心を持ち、健康を向上させるためのさまざまな措置をとるようになった。企業は、簡単な行動変容を促したり、職場環境の改善に配慮することで、病欠者を減らし、個々人の生産性を向上させることができる。
「ネクスト・ノーマル(新常態)」はすでに訪れている。国・産業・企業間に「K字」型の格差が生まれている。事業活動のデジタル化が進み、消費者行動がアジャイルに変化し、そして需給関係やサプライチェーンのボラティリティ(変動幅)が増しており、ビジネス環境が激しく変動する時代が訪れている。パンデミックの克服に私たちが尽力している中で、社会の分断、ワークシフトによる混乱、さらにはサステナビリティ危機といった困難が、目の前に迫っている。社会的な危機と緊張が高まる中で、企業は大きく変革しなければならない。デジタル、AI等の技術をリスキリングを通じて自社に取り入れ、ダイバーシティーやウェルネスなどへの取り組みを拡大して、社会と調和的な発展する「21世紀型の企業」を目指さなければならない。11の数字は、「ネクスト・ノーマル」を生きる企業に課せられた使命を浮き彫りにしている。

