体を「スマート化」することの危険性
私は、新型コロナウイルスによって明るみに出た種々の問題は、人間が生み出したロゴス(論理)と、そのロゴスと対極にあるピュシス(自然)という概念を用いて理解することが必要だと考えています。
例えばこのコロナ禍で、オンライン化が一気に進みました。あらゆる場面で、技術のスマート化(=ロゴス化)が促進され、私たちの生活は便利になる一方、注意すべき点も含まれていると思います。この事態を、ロゴスとピュシスの観点から掘り下げてみたいと思います。
スマート化が、人間の問題解決能力(力仕事や計算力や計画力といったタスク、あるいは移動、配送、通信、記録、解析といった仕事など)を外部にさらに拡張する・展開する方向に進むことは、一定のコントロールや規制は必要なものの、文化・文明の進むべき方向として、人類が自らの生活を豊かにする方法として選び取ったものだと思いますし、この方向へのモメンタム(大きな潮流)を抑制することはできないと思います。
しかし、このスマート化が、人間の内面、つまり精神や身体性に向かって行われようとすることは大変危険なことだと考えています。人間の内部にあるものは、ピュシスそのものですから、これをロゴス的に制御することは、生命を大きく損なうことになります。
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