生物学者の視点で見る「ワクチン接種」の大前提 福岡伸一が説くコロナへ対抗するための出発点

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新型コロナウイルスやワクチン、これからの向き合い方について生物学の視点から考える(写真:Toshe_O/iStock)
新型コロナウイルスによる感染症拡大に伴い、行きすぎた監視社会への危惧やワクチン接種の是非など、科学・技術のあり方に関してさまざまな議論が浮上しました。そこで、生物学者の福岡伸一さんに、生物学の視点から最新テクノロジーやワクチンに対する向き合い方についてお話を伺います。本稿は新著『ポストコロナの生命哲学』より一部抜粋・再構成してお届けします。
第1回目:コロナを「ウイルスとの戦争」と見る事への違和感
第2回目:「治る」を考える「ウイルスと共生」に必要なこと

体を「スマート化」することの危険性

私は、新型コロナウイルスによって明るみに出た種々の問題は、人間が生み出したロゴス(論理)と、そのロゴスと対極にあるピュシス(自然)という概念を用いて理解することが必要だと考えています。

例えばこのコロナ禍で、オンライン化が一気に進みました。あらゆる場面で、技術のスマート化(=ロゴス化)が促進され、私たちの生活は便利になる一方、注意すべき点も含まれていると思います。この事態を、ロゴスとピュシスの観点から掘り下げてみたいと思います。

スマート化が、人間の問題解決能力(力仕事や計算力や計画力といったタスク、あるいは移動、配送、通信、記録、解析といった仕事など)を外部にさらに拡張する・展開する方向に進むことは、一定のコントロールや規制は必要なものの、文化・文明の進むべき方向として、人類が自らの生活を豊かにする方法として選び取ったものだと思いますし、この方向へのモメンタム(大きな潮流)を抑制することはできないと思います。

しかし、このスマート化が、人間の内面、つまり精神や身体性に向かって行われようとすることは大変危険なことだと考えています。人間の内部にあるものは、ピュシスそのものですから、これをロゴス的に制御することは、生命を大きく損なうことになります。

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