トヨタ「カローラ」再び王者狙う準備が整った理由 SUVカローラクロス追加の「合わせ技」が始動
トヨタ自動車「カローラ」シリーズに初のSUV(スポーツ多目的車)モデルである「カローラクロス」が新たにラインナップされた。
12代目に当たる現行カローラシリーズは2018年6月に5ドアハッチバックの「カローラスポーツ」がまず登場。その後、4ドアセダン「カローラ」、ステーションワゴン「カローラツーリング」が2019年9月にそれぞれ追加された。前11代目に当たる4ドアセダンの「アクシオ」と、ステーションワゴンの「フィールダー」も今日なお併売されている。今年9月、ここにSUV「カローラクロス」が加わった。
今回のカローラクロス誕生によって、メーカーを問わず世界的に消費者の関心を集めるSUVを追加することで、カローラシリーズが日本国内における乗用車ブランド通称名別新車販売ランキング(軽自動車除く)の王者を再び奪還し、その地位を固めるかが注目されるところだ。
その歴史をひもときながら、解説していこう。
カローラは2016年に50周年を迎えた。その間、1969年から33年間、国内の乗用車ブランド通称名別新車販売ランキングで1位を守り続けた歴史を持つ。世界150以上の国や地域で販売されており、今年7月には世界累計5000万台を超え、トヨタの看板車種であることに間違いない。
2020年度は瞬間的に王者に
近年もトップ5へ安定的に食い込み、2020年度(2019年4月~2020年3月)は瞬間的に1位となったものの、2019年暦年(1~12月)は「プリウス」、2020年暦年は「ヤリス」がそれぞれ王者となり、混線模様だ。
カローラは、日産「サニー」に次いで1966年に誕生し、日本のモータリゼーションを盛り立てた。わずか数カ月サニーに先行を許したが、初代カローラは「80点+アルファ主義」という価値を定め、エンジン排気量はサニーが1.0リッターであったのに対し、カローラは1.1リッターとし、「100ccの余裕」といって、庶民のための大衆車の位置づけながら、ゆとりのある走りを強調した。
クルマとしての機能や性能にまんべんなく80点をとるだけでなく、プラスアルファとして追加の魅力を求めた結果、たとえば白い車体に赤い内装色を組み合わせるなど、素っ気なさを廃し、カローラを選び、それに乗り、暮らすことで、心にゆとりをもたらすことへの配慮もあった。
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