トヨタ「カローラ」再び王者狙う準備が整った理由 SUVカローラクロス追加の「合わせ技」が始動

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1980年代に入ると、スプリンターに「カリブ」と名付けられたクロスオーバーSUV的な車種が現われた。その初代は、エンジンを縦置きとした前輪駆動車(FWD)という機構から、「ターセル/コルサ」の系譜とされたが、2代目からカローラ系に組み入れられた。

1983年から、それまで後輪駆動であったカローラがFWDとなるが、それを前に、FWDの小型車を検証したような車種がターセル/コルサだった。そして、それまでのステーションワゴンとは異なるクロスオーバーSUV的な価値を、トヨタはカリブで検証したのではないか。車体側面の後ろの窓が縦長の形状で、独特な雰囲気をもたらし、造形的にも、また日常を離れた楽しいことをしに出掛けるうれしさを印象付けるところもあり、人気を呼んだ。

同じとき、やはりターセル/コルサを基にした「カローラⅡ」というハッチバック車も誕生している。直系として同じ部品を使うカローラの一車種ではないが、カローラという価値を広げるスプリンターカリブやカローラⅡの誕生は、カローラの可能性をさらに広げる試金石ともいえた。

バブル期のカローラには「セルシオ」の面影

1990年代に入ると、バブル経済の追い風を受けながら、トヨタ最上級の高級車として「セルシオ」が誕生する。これにあわせ、カローラもより上級な印象を与えるクルマへ発展した。ことに後ろ姿は、セルシオの面影があったように思う。

その後のバブル崩壊を経て、2000年には改めてクルマとしての機能や品質を高め、「ニュー・センチュリー・ヴァリュー」と呼ぶカローラが9代目として登場した。乗り心地や静粛性など含め、もはや大衆車として生まれたクルマとは思えない上級感覚をもたらした。

しかしこれ以降、海外向けのカローラは3ナンバー化しはじめ、国内向けの「カローラアクシオ」とは別の路線を歩むことになる。1990年代後半から、グローバルカーの名の下に世界の自動車メーカーは各地共通の車種展開をはじめ、同じ車種で車体を大型化していく傾向が強められた。背景にあったのは、ドイツを発端とする衝突安全性能の強化である。

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