トヨタ「カローラ」再び王者狙う準備が整った理由 SUVカローラクロス追加の「合わせ技」が始動

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直列4気筒エンジンを搭載するC‐HRは、SUVといっても、より都市部などで格好よさを喜ぶクロスオーバー的といえ、後席の乗り心地や荷室、あるいは後方視界の点で、実用性を重視するSUVとは一線を画する。

カローラクロス(写真:トヨタグローバルニュースルーム)

車体寸法で近いとはいえ、C‐HRとカローラクロスはSUV同士といっても、その存在価値に違いがある。つまり、SUV本来の実用性をより求める消費者にとって、C‐HRには二の足を踏み、ヤリスクロスではやや格下的な印象を覚えていたところに、最適なSUVが誕生したといえるだろう。社内で競合しても、カローラクロスにはカローラクロスならではの商品価値が十分備わっているといえる。

ヤリスの牙城を崩せるか

なおかつ、別の車名ではなく、カローラとつくことで、5ドアハッチバック、4ドアセダンとツーリングを合わせた販売台数として集計されれば、カローラの車名が再び国内販売1位を獲得する可能性が出てくる。2021年1~6月で見ると、ヤリス(約11.9万台)とカローラ(約5.3万台)は2倍以上の差がついており、ハッチバック(「ヤリス」「ヤリスGR」)に加えてSUV「ヤリスクロス」を擁するヤリスの牙城を崩すのはカローラとて容易ではないだろう。

ただ、2020年8月発売のヤリスクロスは新車効果が一巡した。今度はカローラクロスがこの1年の新車効果を満喫する。2022年暦年、2022年度(2022年4月~2023年3月)はカローラが王者を奪還するチャンスが出てきそうだ。

カローラの存在は誰も忘れていないが、やはりカローラは強いとの認識を、1位奪還によって改めて印象付けるのではないか。

かつてカローラはセダンだけでなく、ワゴン、ハッチバック、クーペなどの各モデルのほか、たとえばミニバンルックな「カローラスパシオ」などもカローラシリーズの販売数字に加えるなど、「1位を取るためにはなりふり構わない」と競合メーカーや販売会社から批判を浴びたこともある。今回も同じような話が出るかもしれない。ただし、こうした合わせ技であってもトヨタには1位を取る強さとしたたかさがある。

御堀 直嗣 モータージャーナリスト

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みほり なおつぐ / Naotsugu Mihori

1955年、東京都生まれ。玉川大学工学部卒業。大学卒業後はレースでも活躍し、その後フリーのモータージャーナリストに。現在、日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員を務める。日本EVクラブ副代表としてEVや環境・エネルギー分野に詳しい。趣味は、読書と、週1回の乗馬。

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