沖縄・西表島「野性が溢れる」世界遺産の島の日常 国内最大のマングローブ原生林やサンゴ礁の海
それが世界自然遺産となった西表島で観光事業を営んでいく「星野リゾート 西表島ホテル」の役割だと考えているのだ。
自然を「楽しむ」と「保つ」を、同時に実現する
エコツーリズムの提供を決めたホテルとして、次のような3つの施策を展開している。
まずは「エコロジカルなホテル運営」。
実は島にはゴミの処分場がない。だから出るゴミを減らすことは必然となる。ペットボトルの取り扱いや、使い捨てアメニティの提供を終了したのもそのためだ。
館内にウォーターサーバーを置き、ゲストにはマイボトルの持参を推奨。持参できなかった人にはボトルのレンタルサービスを行っている。
2つ目が、「島の魅力と価値を感じるネイチャーツアー」。
これは上述したとおり。単にアクティビティを楽しめるだけでなく、自然を愛する島在住ナチュラリストガイドとの協働によって、島の魅力と価値について見識を深められるネイチャーツアーを展開するというもの。
ジャングルやサンゴ礁の海、マングローブに囲まれた川など、フィールドは多彩だ。
3つ目が「イリオモテヤマネコの保護活動」。
わずか100頭前後しか生息しない絶滅危惧種のイリオモテヤマネコだが、個体数を減らす際たる原因は“ロードキル”。車との接触事故だ。
そこでロードキルを防止する活動を展開。加えてイリオモテヤマネコや島の自然について学ぶプログラム「イリオモテヤマネコの学校」を無料で毎日開催し、ゲストがロードキルを知る機会を提供する。
実は、このように自然に溶け込みながら滞在し、その地の理解を深めていくリゾートは世界的に増えている。
それは大型バスで乗りつけ短期間で次の場所を目指すマスツーリズムとは一線を画す先進的なスタイル。
環境を守りながら観光地としての魅力を保ち、それによって人が訪れ、観光業によって自然が保全され、地域がさらに元気になっていく観光の新たなカタチなのである。
“大野生”が巣食う島と、その魅力を発信しながら守っていくリゾート。自然遺産として世界の注目が集まる西表島は、「イリオモテヤマネコの島でしょ?」という認識だけではもったいな過ぎる場所なのだ。
では、世界の最先端と足並みをそろえる「星野リゾート 西表島ホテル」に滞在すると、実際にどのような自然体験ができるのか。
日本のどこにもないと感動と多様性に富んだアクティビティの詳細は、次回に紹介していきたい。
(取材・文:小山内 隆 写真:高橋賢勇)
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