沖縄・西表島「野性が溢れる」世界遺産の島の日常 国内最大のマングローブ原生林やサンゴ礁の海
地球上のほかの地域では見られない、西表島だから確認できる固有種、絶滅危惧種が生息・生育しているのだ。
最たる象徴がイリオモテヤマネコ。現在の個体数は100頭ほどとされ、かつ減少傾向にある西表島の固有種だ。
さらに周囲約130kmの島の9割が亜熱帯の原生林で覆われ、マングローブの原生林は国内最大という、まさしく大自然ならぬ“大野生”が残る場所なのである。
「旅行」のあり方を変える先進的リゾートも
この“大野生”を未来に継承していくことが、世界自然遺産登録の大きな意義。観光の方法も、もちろん変わってくる。
「これからは『マスツーリズム』ではなく『エコツーリズム』」。そう明言したのは「星野リゾート 西表島ホテル」だ。
簡単にいうなら、安く短い日程のツアーで多くの人に来島してもらうのではなく、従来より旅客数は減少しても、西表島の存在意義を実感しながら可能な限り長く滞在してもらう。
そのような“旅のカタチ”を推奨していくことを決めたのだ。
では具体的に“旅のカタチ”はどう変わるのか?
同ホテルの総支配人、細川正孝さんによると、島の資源の持続性を念頭に、「楽しい体験」に加え「島の知識」を提供することが大切になるという。
「例えば、マングローブが生茂る川を2時間ほどカヤックで行き、川の上流からはジャングルを歩いてアクセスする『秘境ナーラの滝へ ダイナミック西表島アドベンチャー』があります。
道程を楽しみながら秘境を訪れ滝壺で遊ぶといったレジャーなのですが、これまでは“行って、遊んで、帰って、終わり”という内容でした。
これからは、そのような楽しみを大切にしながらも、マングローブやジャングルといった自然環境、所どころで出合う動物や昆虫への理解を促すことが大切だと考えます」。
「西表島の暮らしは自然とともにありました。自然があったから観光が生まれ、訪れた人たちはかけがえのない時間を過ごせています。
この環境の持続性を高めるうえで必要なのは自然への負荷を低減すること。そのために自然の価値を伝えていくことが重要なのです」。
自然で遊んで楽しむことに加え、学ぶ楽しさも提供していく。