撤去進む「五輪会場」後利用に不安すぎる雲行き 無観客開催で祭典終了「負の遺産化」は防げるか

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同会場での競技最終日だった7月30日。筆者は現地まで足を運んだのだが、「五輪の雰囲気を少しでも感じたい」と数人のファンが近くまで足を運んでいた。その中にいたのが地元・江戸川区在住の細川さん親子だ。

大会期間中にカヌー・スラロームセンターを遠目に見る人々(写真:筆者撮影)

「小学校3年の息子に五輪を見せたくて連れてきました。ここが競技会場になると決まってから、葛西臨海公園駅もキレイになったし、ハワイアンフードを楽しめるレストランもできた。

区内の学校では子どもにプールでパドル漕ぎ体験をさせるなど、五輪への機運が高まっていたんです。結局、無観客開催で競技に触れる機会はなくなってしまった。地元住民としては、早く施設内に入れるようになり、気軽に利用できればいいなと思います」と母・弓子さんは率直な思いを吐露していた。

スケボー会場も遠目から見るだけ

「施設を身近に感じる機会がほしい」という声は、江東区出身のスケートボード・男子ストリートの金メダリスト・堀米雄斗(XFLAG)が五輪初制覇を果たした有明アーバンスポーツパーク周辺でも聞こえてきた。

同施設ではスケートボードや自転車・BMXレースが行われ、7月下旬から8月上旬にかけて連日、熱心なファンが集まった。競技場が遠目から見える有明北橋は「希望の架け橋」という異名もつけられたほど。だが、「コロナ禍の密の象徴」のように連日取り上げられ、最終的には厳重な警備体制が敷かれた。

熱心なファンが集まった有明北橋(写真:筆者撮影)

通行人が橋で立ち止まることも、「ゆりかもめ」(東京臨海新交通臨海線)の有明テニスの森駅付近から競技場を眺めることも難しくなり、「こうなるんだったら、せめて大会後に子どもたちが施設見学する場でも作ってくれたらいいのに……」というボヤキが地域住民から聞こえてきた。

大会後の五輪施設を主に支えていくのは地元の人々。とりわけ今後納税者となる若い世代だ。その彼らに世界最大のスポーツイベントの魅力やすばらしさを感じてもらえなかったマイナス影響がどう出るか。そういう危惧を抱かざるをえない。

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