撤去進む「五輪会場」後利用に不安すぎる雲行き 無観客開催で祭典終了「負の遺産化」は防げるか

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もう1カ所、足を運んだ有明アーバンスポーツパークのほうは、金メダルの堀米が滑ったスケートボード場を含め、3つの競技施設の大半が原型をとどめていた。それも江東区の山崎孝明区長が存続希望を表明し、原則として解体予定だった東京都も恒久施設として残すことを本格検討し始めたからだろう。

9月20日の有明アーバンスポーツパークの様子(写真:筆者撮影)

「2019年に発表した資料に『大会シンボルや仮設スポーツ施設の移設、スポーツカフェ・ショップ等の設置により、アーバンスポーツゾーンを形成します』と記載されているとおり、東京2020大会のいくつかの競技施設を残し、有効活用する計画は当初からありました。

それから2年以上、検討を続けていますが、具体的な方向性はこの先、数カ月かけて出されると思います。カヌー・スラロームセンターのように指定管理業者制度を導入すべきか、国立競技場のようにコンセッション方式を採用するべきかを含め、細かく詰めていくことになります」

東京都オリパラ準備室の担当・松井氏がこう語るようにまだ公にできる段階にはない模様。ただ、「使える施設はできる限り使う」という形で迅速かつ合理的に進めてもらいたいというのが、多くの都民・国民の願いではないだろうか。

五輪会場を「負の遺産」にしないために

億単位の経費をかけて取り付けられながら、無観客によって活用されなかった仮設スタンドや世界各国の国旗や五輪モニュメントが瞬く間に外されたり、弁当の廃棄、余ったボランティアユニホームの無料配布といったムダがあまりにも目につくだけに、五輪会場の後利用問題に関しては「負の遺産」を作るような失敗はしてほしくない。

五輪施設を人々に愛され、使われる場所にすべく、東京都や指定管理者など関係者には議論や検討・準備のスピードアップが求められる。

元川 悦子 サッカージャーナリスト

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もとかわ えつこ / Etsuko Motokawa

1967年、長野県生まれ。夕刊紙記者などを経て、1994年からフリーのサッカーライターに。Jリーグ、日本代表から海外まで幅広くフォロー。著書に『U-22』(小学館)、『初めてでも楽しめる欧州サッカーの旅』『「いじらない」育て方 親とコーチが語る遠藤保仁』(ともにNHK出版)、『黄金世代』(スキージャーナル)、『僕らがサッカーボーイズだった頃』シリーズ(カンゼン)ほか。

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