「日本株の上昇はこれからも続く」と見ていいのか TOPIXの年初からの上昇率はNYダウを逆転した

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東京などでの緊急事態宣言は9月末まで延長となったが、株式市場は悲観する様子はない。「強い日本株」は本物なのだろうか(写真:つのだよしお/アフロ)

ついに日経平均株価がTOPIX(東証株価指数)に続き、年初来高値を更新してきた(3万0670円、9月14日終値)。今後も株価上昇は続くとみていいのだろうか? 

「日本株はアメリカ株に比べ出遅れ」はどうなった? 

ほんの少し前の8月20日までは日本株はアメリカ株に対して、大きく出遅れていた(代表的な指標であるNYダウ30種平均株価は年初から16%上昇、日経平均株価は同1%の下落)。

日経平均は2月16日に3万0467円を付けてからは、ずっと下落が続いていた。下落の主な理由は以下の4つだ。①日本銀行が3月から日経平均型のETF(上場投資信託)の買い入れ方針を見直した②新型コロナウイルスに対するワクチン接種や医療体制整備が遅れた(デルタ変異株で感染者が急増、緊急事態宣言が解除できない状態となり国内景気の低迷リスクが高まった)、③それらに伴う内閣支持率の低下、などだった。
 しかも、とどめを刺したのは④8月20日のトヨタ自動車の減産報道だ。これが嫌気され同社株は急落、同日の取引時間中に日経平均は一時2万7000円を割り込んだ。つまり年初の株価水準を下回る水準まで「逆戻り」していたのだ。

だが、こんな悲観的なマーケットの予想に反し、9月に入って日経平均は急上昇。9月8日には一気に3万円台を回復。14日は取引時間中に3万0795円まで上昇、31年ぶりの高値となった。

足元では年初からのNYダウに対する株価の出遅れもかなり解消され、上昇率はほぼ同じになっている。日経平均がNYダウとの差を縮めてきた理由は、主に以下の3つだ。①日本株はアメリカ株に対してPER(株価収益率)などから見て割安に放置されていた、②新型コロナに対するワクチン接種の進展(9月末のワクチン2回接種率は国民の60%乗せへ)とそれに伴う新規感染者数増加一巡への期待(国内景気の回復期待)、③政治の変化(菅義偉首相の自民党総裁選不出馬表明など)だ。とくに8月末からは③の「政治の変化」をきっかけに、①と②が再認識され、株価は急騰したとみるべきだ。

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