海外投資家は「菅首相交代」なら日本株を売る? 日本株への評価を変える必要はまったくない
前回8月2日の当コラム「海外の機関投資家が懸念し始めた『中国リスク』」では、日米の株価格差について述べた。そこでは、アメリカのドルに換算した日経平均株価をニューヨーク(NY)ダウ工業株30週平均の指数で割った比率を紹介し、それが低下基調にあることを指摘した。その後も同比率は、大きく底割れはしてはいないが、低迷が続いている。
日経平均はTOPIXに対しても「今年最低」を記録
「そんな比率をいちいち持ち出さなくても、NYダウが史上最高値を更新した、というニュースは頻繁に目にする。また日経平均がなかなか2万8000円台を維持できていない。日本株がアメリカ株より冴えないことは、もうよくわかっている」と感じる読者の方も多いだろう。
そうした日経平均の劣後は、アメリカ株に対してだけではなく、同じ日本の株価指数であるTOPIX(東証株価指数)に対しても、進んでいる。NT倍率(日経平均÷TOPIX)の低下については、やはり前回のコラムで触れたが、こちらはその後も一段と低下し、8月13日には14.30倍と、今年の最低値をさらに更新した。
前回のコラムでは、対NYダウでも対TOPIXでも日経平均が不振である要因として、ソフトバンクグループ、ファーストリテイリングといった、値がさ株の株価下落を指摘した。
その背景として、その2社に限らず日本株全般に、「中国リスク」を懸念する向きが増えており、前回のコラムではその「中国リスク」の解説に多く文量を割いた。今回は繰り返しを避けるので、前コラムをご参照いただきたい。
なお、先週に限れば、やはり日経平均採用の値がさ株で、東京エレクトロン、アドバンテストといった、半導体製造装置関連銘柄の株価反落も目立った。ただしこれは、8月12日までのアメリカのSOX指数下落が大きく影響したと解釈している。実態面では、世界的な半導体の生産能力増強の大きな流れは不変で、半導体関連銘柄の株価の先行きは懸念していない。
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