海外投資家は「菅首相交代」なら日本株を売る?

日本株への評価を変える必要はまったくない

今のところは、政治情勢は株価にプラス材料とはなっていない。東京オリンピックの開催により、菅義偉政権は、支持率上昇につながるとの期待があったのかもしれない。

実際、自民党の河村健夫元官房長官は、7月31日に山口県で、「五輪で日本選手が頑張っていることは、われわれにとっても大きな力になる」と述べ、「東京五輪で日本代表選手が活躍すれば、秋までにある次期衆院選に向けて政権与党に追い風となるとの認識を示した」と報じられた。これはかえって顰蹙を招いたと推察される。日本国民の多くは「アスリートの活躍は素晴らしいが、だからと言って現政権が優れているわけではない」と切り分けて理解しているだろう。

デルタ株だけでなくラムダ株も脅威に?

さらには新型コロナウイルスのデルタ株の流行が懸念され、さらにラムダ株の今後の感染拡大を心配する向きも多い。政府の感染対策が不十分だとの疑義を多く聞くようになっている。ラムダ株については、ペルーに渡航歴がある人物が7月20日に羽田空港から入国し、その人がラムダ株に感染していた、という事実が、8月6日になって明らかになった。

さらに遅れて先週末の13日には、その人物がオリンピック関係者だった(入国時に大会の許可証を所持していた)ことが報じられた。この報道に至るまでの時間差から、政府がオリンピック開催期間中は事態を隠しておこうとしたのではないか、との疑念を呼んでいる。

主要なメディアの内閣支持率の調査を見ても、菅政権への支持低下がうかがえる。最近までは、自民党のなかで菅氏に代わる有力な総裁候補が、今は見出しにくいということで、9月末が任期の自民党総裁選については、菅氏を再選するか、あるいは総選挙(公職選挙法の例外的な規定が適用される事態となっても、11月までには選挙になる)と総裁選の日程が近いため、総裁選を総選挙後に先送りする、という観測が有力だった。

もしくは、自民党の総裁任期末より前に衆議院を解散し、菅首相が主導権を確保して総選挙突入、との説もあった。こうしたさまざまな可能性は、総選挙は菅総裁のもとで戦う、というシナリオだった。

ところが足元の菅政権の支持率低下で、自民党内が「菅首相のままでは選挙が戦いにくい」と浮足立っている可能性がある。その点で注目されるのは、8月22日の横浜市長選挙だ。菅首相は前国家公安委員長の小此木八郎氏を推しており、もし小此木氏が敗れれば、一段と「菅おろし」が強まるとの観測もあるようだ。

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