海外投資家は「菅首相交代」なら日本株を売る?

日本株への評価を変える必要はまったくない

こうした「中国リスク」は、事態の改善も悪化も、タイミングを計ることが難しい。ずっと株価の重石で居続けるかもしれないし、突然大きな悪材料に化けるかもしれない。

セミナーにご参加くださる方や、ラジオのリスナーの方から、「いつ何があったら、日本株が大きくアメリカ株に追いつくのですか」といったご質問をよくいただくが、特に何かがきっかけで事態がぐっと改善する、という見通しは立ちがたい。

自動車を中心とした輸送機器は好調を持続

もちろん好材料はある。足元で発表がほぼ一巡した4~6月期の企業決算は、総じては好調だった。まだ少数の未発表企業はあるが、東証1部上場の既発表企業の4~6月期(ただし2月本決算企業の3~5月期などを含む)における1株当たり利益は、前年比で約2.5倍になった(ファクトセットの集計による)。東証33業種別にみて、全体の増益率への寄与度が最大だったのは、自動車を中心とした輸送用機器で、全業種の増益率の47%を同業種が押し上げている。

ちょうど前年同期はコロナ禍の影響で大きく利益が落ち込んだため、前年比の大幅増益は割り引いて解釈する必要はある。ただし先行きについても、企業側が自社の通期の収益見通しを上方修正するところが増えており、アナリストも、先行き12カ月間の東証1部全体の1株当たり利益について、全体では直近で4割程度の増益を見込んでいる(アナリスト予想の平均値、ファクトセット調べ)。

こうした製造業を中心とした収益の回復が、じわじわと日本の株価水準を押し上げていくことが期待される。このため、今年内の日本株の先行きについて、決して悲観視することはないだろう。ただその一方で、どこかで一気に株価が上昇するというイベントは想定しにくく、じわじわもたもたと、いつの間にか株価水準が上がっている、ということになると考える。やはり、買い持ちしてずっと待ち続けるという、忍耐が必要な展開になると考える。

足元での他の重要な要因としては、国内政治情勢が挙げられるだろう。前回のコラムではごく簡単に触れたにとどまったが、海外投資家からも、政治動向を注視するとの声が聞こえる。

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