「惚れたら負け」結婚希望の30代女性が学んだ忍耐 2カ月連絡が途絶えた相手と結婚した経緯

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彼は関西在住で、紀香さんは東京の大学院を卒業して海外で働くことが決まっていた。しかし、「この人を逃したら次はない」と思った紀香さんは渡航を迷い始める。

「そんな私のことが重かったのだと思います。『俺のことは放っておいてでも海外に行く気概を見せてほしかった』と言われてしまいました」

紀香さんは背中を押されるようにして出国。2年後の帰国直前によりを戻したが、彼の気持ちが下がったままなのを実感した。

5年間の婚活不遇の時期を経て、智也さんと出会う

先述のとおり、その後の約5年間は紀香さんの婚活不遇の時期が続く。職場の上司、婚活パーティーでカップリングした相手、合コンで知り合った男性。いずれともまともな交際には至らなかった。

「私は相手への好意が丸出しになるんです。じっと見つめてしまったり……。それが男性を調子に乗らせてしまうのかもしれません」

惚れたら負け。ちょっと寂しい教訓を得て、紀香さんは正社員にもなりやすい金融機関に転職する。一生独身かもしれないという想定をして、仕事に本腰を入れることに決めたのだ。

その覚悟が幸運を引き寄せたのかもしれない。久しぶりに参加した婚活パーティーで智也さんと出会うことができた。大学生みたいな服装をしているけれど、「さっぱり系の見た目がタイプ」だったと告白する。

「親世代からは若い頃の松山千春に似ていると言われています。私ですか? 堀ちえみ、かな」

なんとも昭和なカップルである。婚活パーティーでカップリングをして、東京スカイツリーでの「トライアルデート」をしたものの2人の距離はなかなか縮まらなかった。今までの痛い経験を踏まえ、紀香さんが「待ちの姿勢」を崩さなかったのも一因だ。

「彼に理想の恋愛を聞いたら、『愛されるより愛したい』とKinKi Kidsの歌みたいなことを真顔で言っていました(笑)。私は年上だし、この人に負担をかけたくないなと思ったんです。だから自分からメールはしないようにしていました」

智也さんはコミュニケーションが上手とは言えず、2カ月ほど連絡が途絶えたこともある。紀香さんは諦めてメールアドレスの登録を消したこともあると振り返る。

「一度だけ、私のほうから誘ったことがあるんです。お互いにプロ野球好きなので、オールスターのチケットが手に入ったときに思わず誘いました。でも、『仕事が忙しくて行けない』と短く言われてしまって……」

すでに智也さんを好きになっていた紀香さんは遠方の実家に住む母親に話して泣いてしまった。心配した母親ははるばる上京して一緒に観戦してくれた。

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