牛めしの松屋が「弁当専門店」に手を出す事情 コロナ禍で外食大手が中食事業に本格参入
主な展開エリアはテイクアウト需要が見込め、夜間人口も多い郊外や住宅街。もともと松屋は都心店が多いため、コロナ禍でも、比較的客足の落ち込みが少なかった郊外エリアの強化という観点からも松弁キッチンが担う役割は小さくない。
今後は既存店の改装による増設と、新規出店両方のパターンで推進していく。具体的な店舗数の計画は未定としながらも「(松弁キッチンが併設できるような)候補店舗・立地はかなりあがっており、可能性があればいっきに拡大することもありうる」(松屋フーズ販売企画部の浜野隼氏)。
「男性客」以外も取り込む
「持ち帰り需要の訴求」という狙いだけでなく、松弁キッチンには中長期を見据えたさまざまな狙いがある。
1つ目は、将来的な単店での出店だ。松弁キッチンは約3坪と小規模であるため、駅ナカや商業施設などこれまで松屋フーズが出せなかったような立地に出店できる可能性を秘める。
だが、いきなり単店で出しても、ブランド力が足りず店舗網を広げるハードルは高い。そのため、知名度がすでに確立されている松屋や松のやなどのブランドに併設することで認知度をあげた後、将来的には単店での展開もにらむ。
2つ目が新規顧客の囲い込みだ。「男性の個人客」が多いイメージの牛丼業界だが、顧客層を広げるために大手3社はさまざまな策を打つ。
先を行くのが、最大手のすき家だ。従来ファミリー客でも気軽に利用できるように、テーブル席が多く、子供向けメニューも充実している。吉野家も、ソファやテーブル席を充実させたカフェのような内装の店舗への改装を進めるほか、ポケモンとコラボした商品「ポケ盛」を投入するなど、女性や家族客などの取り込みに力を入れる。
松屋も同様に店舗の改装や、ライスを生野菜に変更できる「ロカボチェンジ」などの施策を打つものの、ファミリー客や女性客を対象とした施策が競合に比べて遅れているというのが実情だ。
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