だが、車内に入ると機器の一部は撤去されており、監視ドームのカメラもなくなっていた。実は、443系は前月に行われた九州・中国地方の“出張”を最後に現役を引退。長年所属していた吹田総合車両所京都支所を離れ、廃車のためにここまで回送されてきたのだ。
443系がこれまで担ってきた検測作業は、もちろん今後も何らかの形で行う必要がある。近い将来、バトンを受け取った新型の検測車両が、443系に代わって鉄路の安全を守ることだろう。
「クル144・クモル145」とは?
ところで、443系をはじめとする検測車両は「事業用車両」というカテゴリーに区分される。事業用車両というのは、人を運ぶ旅客車両や荷物を運ぶ貨物車両のように営業用に使うものではなく、鉄道会社が自社の業務用に使う車両を指す。
443系が所属していた京都支所には、他にも何形式かの事業用車両がいるのだが、この中にもう1つ、鉄道ファンの間で話題となっているものがある。それは、クル144とクモル145だ。
クル144とクモル145の最大の特徴は、その形状にある。正面から見ると、かつて首都圏でも見られた国鉄の通勤型電車・103系に似ているが、横から見た姿はまったく違う。なんと、車体の3分の2ほどが荷台になっているのだ。
JR西日本「443系」「クル144・クモル145」
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443系の顔立ちは485系特急電車などとよく似ている
(撮影:伊原薫)
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側面には「電気検測試験車」の文字が見える
(撮影:伊原薫)
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運転台は高い位置にある
(撮影:伊原薫)
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内には検測用機器が所狭しと並ぶ
(撮影:伊原薫)
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一部の機器は搬出され、がらんどうの状態
(撮影:伊原薫)
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パンタグラフや架線を目視できる観測ドーム
(撮影:伊原薫)
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車内にはこんな掲示もあった
(撮影:伊原薫)
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吹田総合車両所でクモヤ145と並ぶ443系
(撮影:伊原薫)
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車端部に「日本国有鉄道」の銘板が残っていた
(撮影:伊原薫)
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JR東西線で検測作業を行う443系
(撮影:伊原薫)
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最後の役目を終え、吹田総合車両所に回送される443系
(撮影:伊原薫)
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上部から眺めた観測ドームの様子
(撮影:伊原薫)
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トラックのような荷台を持つクル144とクモル145
(撮影:伊原薫)
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正面から見ると103系などとほぼ同じ顔つきだ
(撮影:伊原薫)
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幅広い車両と連結できるよう、双頭連結器を装備する
(撮影:伊原薫)
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クル144の荷台。滑り止めの部材が見える
(撮影:伊原薫)
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クル144の車内。簡素な造りだが一角には座席もある
(撮影:伊原薫)
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京都鉄道博物館に搬入されるクル144とクモル145
(撮影:伊原薫)
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京都鉄道博物館で最後の車両展示が行われた
(撮影:伊原薫)
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側面のアオリを開いた状態での展示も行われた
(撮影:伊原薫)
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