【産業天気図・食品】低価格化進むも原料安が下支え、過去の構造改革効果もあり終始「晴れ」
10年4月~9月 | 10年10月~11年3月 |
食品業界は2010年4月から1年を通じて、「晴れ」となりそうだ。売れ筋の低価格化は進むものの、油脂や小麦などの原料安に支えられる。後半には原料大豆や燃料の価格上昇が懸念されるが、影響は軽微にとどまるだろう。
総務省の家計調査によると、10年の食費は64149円(2人以上世帯の1カ月の食費、4月)。05年と比較すると3%減少している。この影響を受け、食品業界では売上高が伸び悩む企業が多い。ただ、07年の原料高の局面で値上げ実施や生産効率化を推進、筋肉質の収益構造を実現したことから、前09年度に続き利益に関しては高水準をキープする見込みだ。
この傾向が特に顕著なのは、即席麺分野、調味料分野でそれぞれ首位の日清食品ホールディングス<2897>と味の素<2802>だ。両社とも今期は国内外での値上げと穀物原料などの価格安定で、過去数年間では高水準の営業益を見込んでいる。食肉業界もここ数年、食肉相場低下の打撃をうけていたが、09年冬に食肉市場が底打ち。10年4月以降は回復傾向が強まる。
ハムやソーセージなど採算がよい食肉加工品も、手作り弁当向け需要などで好調に推移する。日本ハム<2282>や丸大食品<2288>など食肉分野では総じて増収増益となる見込みだ。