仏教に学ぶ「自分さえ自分の頼りにならない」真理 好ましくない変化は認めないという心が間違い

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そのあとは、親のところに相談に来たようなつもりで、お釈迦さまからいろいろな説法を聞いたそうです。そして最後に、お釈迦さまは「この世の中で何も頼るものはない。誰も頼りにならないんだよ。両親も、兄弟も、旦那も、子どもも、財産も、あなたの健康も何1つも、あなたの頼りにはならないんだから、ぜんぶ捨てなさい」と言ったのです。

「自分さえ自分の頼りにならない」というのはとても高度な真理なのですが、彼女の場合はすでに身をもって十分に知っていました。ですから「ああ、そうか。私はもう何にも頼らない心をつくらなくてはいけないんだ」とすぐに思うことができました。

あるとき彼女が自分の部屋で瞑想していると、油がなくなって、明かりが消えてしまったのだそうです。消える前にパッパッと2、3回大きい炎が出ました。その瞬間に彼女は悟りを開いたそうです。

「自分の心」さえ頼りにはならない

自分さえ自分の頼りにはならないということは、大切なポイントです。このことは、精神的に弱い人のほうが、実感しやすいかもしれませんね。

私たちは、私たちの心さえ信じることはできないのです。もしも自分の心を信じることができれば、何があっても問題ないはずです。

でも人間は、たとえばちょっとでも予想しなかった出来事にあったら、ショックを受けてすぐに自信をなくしてしまいますね。それで家を出ることもできなくなって、閉じこもっている人々もいます。

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心というのは、ちょっとでもショックを受けたとたんに、頼りにならなくなってしまうものです。

いくら「しっかりしなさいよ」と、自分に言い聞かせても無駄です。本人の心さえ、本人を助けることはできないのです。ちょっと何かあって心に傷がついたら、人生はもう終わりなのです。

身体に少し傷がついたくらいなら、ばんそうこうでも貼っておけば治りますね。でも、心にちょっとでも傷がついたら、全然治りません。そんなに頼りないものなのですから、最初から頼らないほうがいいのです。

では、どういう精神でいればいいかというと、「いずれはぜんぶ消えるんだから、それでまあいいんじゃないか」と思うことです。「何にも頼る必要はない」というのが答えです。自然災害も、人の死も自然の法則であり、止めることはできません。自然の法則を認めない、好ましくない変化は認めたくないという心が、間違っているのです。

アルボムッレ・スマナサーラ スリランカ初期仏教長老
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