「和食が好きな健康志向」の人も知らない深刻盲点 「持ち帰り、外食」も要注意!あなたは大丈夫?

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とはいえ、原材料が「大豆、小麦、食塩」だけのしょうゆならOKかというと、そうではありません。

「速醸」といって、「酵素と温度管理で、短期間で作る製法」があるのです。これだと、熟成期間を短縮して作れるため、比較的安く売ることができます。こういう「速醸しょうゆ」も、ラベルには「大豆、小麦、食塩」とだけ書かれているので、ラベルだけでは見分けることができなかったりします。

それを見分ける一番簡単な方法は、「テイスティング」です。200ccのぬるま湯に、大さじ1杯(15cc)程度のしょうゆを入れて、飲み比べてみるのです。「長期熟成のしょうゆ」と「速醸しょうゆ」の差は一目瞭然です。「長期熟成のしょうゆ」は薄めても旨味が残りますが、「速醸しょうゆ」は旨味が乏しく、塩水っぽく感じるものが少なくありません。さらにひとつまみの塩を入れると、旨味が引き出されるのが「長期熟成のしょうゆ」の特徴です。

もうひとつ、買うときに見分けるならば「値段」です。スーパーなどで一般的に売られている値段と比べて、極端に安いものは「速醸」の可能性が高いと考えて、およそ間違いないケースが多いと思います。もちろん特売の可能性もあり、すべての食品に当てはまるわけではありませんが、往々にして「安いもの」には“理由”があり、高いものにも“わけ”があるのも事実です。

ぜひ「魔法の調味料」を作るときにも、「調味料(アミノ酸等)」や「アルコール」などが書かれていない、「大豆、小麦、食塩」のみのシンプルな表示で、長期熟成したものを選ぶようにしてください。それで作った「かえし」と料理は、本当に美味しいものです。

高いしょうゆでも、「結果的には」食費は安くなる

「高いしょうゆを使うと食費が上がる」という声もあるかもしれません。しかし、それを使って、美味しい「かえし」さえ用意しておけば、市販の「○○の素」「○○のタレ」などをわざわざ買わなくても、簡単に作ることができるのです。

「○○の素」「○○のタレ」が、みなさんの冷蔵庫のポケットに、たくさん並んでいませんか? 「賞味期限が切れて捨てたことがある」という人はいないでしょうか?

いいしょうゆで「かえし」を作り、「めんつゆ」「焼肉のタレ」などを作ってみてください。結果的に、食費は断然、安くつくはずです。

みなさんもぜひ「いい調味料」を使って、「おいしく、健康的な和食」を楽しんでいただきたいと思います。

安部 司 『食品の裏側』著者、一般社団法人 加工食品診断士協会 代表理事

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あべ つかさ / Tsukasa Abe

1951年、福岡県の農家に生まれる。山口大学文理学部化学科を卒業後、総合商社食品課に勤務する。退職後は、海外での食品の開発輸入や、無添加食品等の開発、伝統食品の復活に取り組んでいる。NPO熊本県有機農業研究会JAS判定員、経済産業省水質第一種公害防止管理者を務めつつ、食品製造関係工業所有権(特許)4件を取得。開発した商品は300品目以上。

2005年に上梓した『食品の裏側 みんな大好きな食品添加物』(東洋経済新報社)は、食品添加物の現状や食生活の危機を訴え、70万部を突破するベストセラーに。その他の著書に『食品の裏側2 実態編 やっぱり大好き食品添加物』(東洋経済新報社)などがある。

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