「魔法の調味料」をつくるうえでぜひ気をつけてほしい点、それはそもそも素材となる「調味料」そのものの選び方です。
『食品の裏側』でも指摘した「しょうゆの落とし穴」
特に気をつけてほしいのが、和食のベースとなる「しょうゆ」です。しょうゆは本来、「大豆、小麦、塩、麹」を使って、1年以上熟成させてつくります。
麹からつくられた酵素が、時間の経過とともに少しずつ、大豆のたんぱく質をアミノ酸に、小麦のでんぷんを糖分に変えていきます。これがしょうゆの「うまみ」となるのです。
ところが、非常に安価で売られている「安いしょうゆ」の中には、大豆油を搾ったあとの脱脂加工大豆を塩酸分解するなどしてつくるものも少なくありません。きわめて安価にできますが、そこには、しょうゆが本来もつ「うまみ」や「香り」は乏しくなります。
味が足りないから「アミノ酸液」や「甘味料」を足し、色をつけるために「カラメル色素」を使い、保存がきかないから「保存料」を足すものもあります。
これはもう「長期熟成で作る本物のしょうゆ」とは別モノ、いわば「添加物を駆使して作ったしょうゆ」と言っても過言ではないと私は考えています。
「長期熟成の本物のしょうゆ」と「添加物を駆使したしょうゆ」の差は、ハッキリと「魔法の調味料」のひとつ「かえし」を作るときに出ます。
たとえば「安部ごはん」として考案した「かえし」を使ってたった5分で作れる「2度目のごちそう 鯛茶漬け」は、しょうゆの風味が、鯛の淡泊な味とからむことで、絶妙な味のハーモニーが堪能できるわけです。
ところが「添加物を駆使したしょうゆ」でつくった「かえし」では魚の生臭さが抜けず、おいしさが半減してしまいます。
ほかにも、同じく私が考案した「本当は誰にも教えたくない 大感動 魔法の焼肉のタレ」や「自宅で簡単に作れる!簡単濃縮めんつゆ」なども、昔ながらの「長期熟成の本物のしょうゆ」を使ってつくるのと、「添加物を駆使したしょうゆ」でつくるのでは、まるで別モノと言っていいくらい、美味しさに差が出ます。
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