【産業天気図・外食】外食支出は依然厳しく、低価格戦略で業績低調。景況感は「曇り」続く
10年4月~9月 | 10年10月~11年3月 |
外食業界の2010年4月~11年3月は、終始「雲り」で足踏みしそうだ。牛丼や居酒屋などで低価格競争が激化。店舗数の過剰もあり、価格消耗戦は当面収まりそうにない。一方で、高級感を打ち出した店舗戦略も一部で登場、価格戦争の一服にも期待が出ている。
厚生労働省の4月分毎月勤労統計調査(速報値、事業所規模5人以上)によると、一人当たりの平均現金給与総額は、前年同月比1.5%増の27万5985円だった。前年を上回ったのは2カ月連続だ。
一方、総務省の同月分家計調査報告(速報値、2人以上の世帯)では、外食を含んだ食料項目の支出は、実質ベースで5カ月ぶりに前年同月比マイナスに転じている。消費者の消費意欲は、外食への支出を増やすほどには回復していない状況。日本フードサービス協会によると、4月の全店売上高は前年同月比0.5%減。客数は同2.9%増だったものの、客単価が同3.2%減り全体を目減りさせている。
厳しい環境に対し、値下げで消費刺激を図る企業は少なくない。代表例が牛丼。大手3社の牛丼並盛り価格は、09年12月以降値下げしたゼンショー<7550>の「すき家」が280円、松屋フーズ<9887>の「松屋」が320円。一方、価格を据え置いた吉野家ホールディングス<9861>の「吉野家」は380円。相対的高値が前年対比の既存店売上高に打撃を与えている。