バイデン大統領支える「がんで逝った息子」の存在 苦難の中でいかに大統領選出馬を決めたのか
不治の病に襲われた最愛の息子
それはオバマ大統領が再選を果たした翌2013年の夏のことだった。副大統領、ジョー・バイデンは思わず身震いするほどの凶報を受け取った。
長男ボーの脳には腫瘍が巣くっており、手足にも痺れがあり、言葉も乱れはじめていた。良性の腫瘍か、放射線や抗がん剤で治癒が見込めるリンパ腫か、それとも不治の病といわれる膠芽腫(こうがしゅ=グリオブラストーマ)か。ボーを苦しめていた病気の正体を突き止めるため、脳から生体が摘出された。手術を手がけたのは、テキサス・ヒューストンのMDアンダーソンがんセンターの最高権威だ。検査の結果は膠芽腫。病態はもっとも重篤なグレード4だった。
「私はうなだれて床を見つめていた。打ちのめされた思いだった。ロザリオを握りしめ、神に祈った──これに立ち向かう力を、どうか私にお与えくださいと」


















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